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PRESS RELEASE (ユビキタスプロダクト)

2007-0096
2007年5月8日
富士通株式会社

HDD用交換結合型磁気記録媒体技術が「恩賜発明賞」を受賞

当社のハードディスクドライブ用磁気記録媒体に関する発明が、このほど社団法人発明協会主催の「平成19年度全国発明表彰」で最も優れた発明として評価され、「恩賜発明賞」を受賞いたしました。

表彰式は、6月19日に、ホテルオークラ東京(東京都港区)にて開催される予定です。


ハードディスクドライブ(HDD)

ハードディスクドライブ(HDD)は、その誕生以来50年の間に、さまざまな技術革新により記録密度を飛躍的に向上させ、インターネットに代表される情報化社会のストレージとして不可欠の情報記録装置となっています。近年は、パソコン、サーバといった情報機器だけでなく、携帯音楽プレーヤーやビデオレコーダ、カーナビなど、その用途も拡がり、人々の生活により密着したものになっています。しかしながら、HDDはビット情報を磁気媒体の磁化として記録することから、かつては、熱揺らぎ現象(注1)による記録情報の消失がネックとなり、2000年以降の大容量化は困難になるとの見方が一般的でした。


これに対し、当社は、2000年4月に熱揺らぎ限界のブレークスルーとなる「交換結合型磁気記録媒体」(SFM:Synthetic Ferrimagnetic Media)の技術開発に成功しました。SFMは記録層に、わずか3原子(厚さ0.7ナノメートル)からなるルテニウム層(後述)を入れることで、耐熱揺らぎ性と高密度記録を両立させる画期的な技術です。当社は、2001年に世界に先駆けてモバイルHDDにSFM技術を採用し、その後改良を重ね、現在は熱揺らぎ限界の3倍以上の記録密度を有するHDD(写真は、200GBタイプの「MHV2200BT」)を生産しています。

今では、本技術は大容量化のための標準技術として業界で広く使われるようになり、2006年には全世界で生産された4億台以上のHDDに適用されています。


受賞者

恩賜発明賞 株式会社山形富士通 プロジェクト統括部長 岡本 巌
恩賜発明賞 元富士通株式会社 ノエル アバラ
恩賜発明賞 富士通株式会社 ストレージプロダクト事業本部 技師長 溝下 義文
恩賜発明賞 株式会社山形富士通 磁気媒体統括部 吉田 祐樹
発明実施功績賞 富士通株式会社 代表取締役社長 黒川 博昭

交換結合型磁気記録媒体(SFM)とは

HDDの高記録密度化のために、微細化・薄層化された磁気記録媒体上の記録ビット情報を長期にわたり安定的に保持することを可能にする技術です。直径わずか数ナノメートルの微細な磁性粒子の集合体からなる磁気記録層に、数原子の厚さのルテニウムなどの導電性薄膜を介して安定化層を付加するとともに、この導電層の厚さを100分の1ナノメートル単位で制御することで、電子を介した相互作用(磁気交換結合)により安定化層と記録層の磁化を反対方向へ結合(反平行結合)させます。結果として、記録層の実効的な厚さを低減することで高記録密度化を図り、記録層の過度の薄膜化を抑制することにより、磁性粒子の体積増大が可能となり記録ビットの安定化を図ることができます。

これにより、従来困難とされてきた「高記録密度特性」と「記録ビットの長期安定性」の両立が可能となります。本技術は、面内記録方式に対応したものですが、現在HDDは垂直記録方式に移り変わりつつあり、同方式にも本発明の適用が期待されています。



<交換結合型磁気記録媒体(SFM)の構造と作用について>

全国発明表彰について

全国発明表彰は、皇室より毎年御下賜金を拝受し、わが国における発明、考案、または意匠の創作者ならびに発明の実施および奨励に関し、功績のあった方々を顕彰することにより、科学技術の向上および産業の発展に寄与することを目的として行っているものです。今回受賞の恩賜発明賞は最も優れた発明に贈呈される最高位の賞です。


商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。


以上

注釈

  注1 熱揺らぎ現象:
記録ビットの磁化が熱の影響によって乱され、年月とともに消える現象。

関連リンク

本件に関するお問い合わせ

富士通株式会社 ストレージプロダクト事業本部
電話:044-754-2120(直通)
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株式会社山形富士通
電話:0237-43-6111(代表)
E-mail:yfl-webmaster@cs.jp.fujitsu.com


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