PRESS RELEASE
2007年1月10日
株式会社山形富士通
株式会社富士通研究所
財団法人神奈川科学技術アカデミー
~1平方インチあたり1テラビットの磁気記録実現に前進~
この技術により、ハードディスクに用いられる磁気記録媒体の記録容量を現行製品の5倍以上に高められると期待できます。
今回開発した技術は、テラビット級の垂直磁気記録(注7)媒体の実現に向けた基礎研究で、独立行政法人科学技術振興機構(JST)の革新技術開発研究事業として受託しているものです。
(研究期間:平成16年度~18年度、3年間)
なお、本技術の詳細は、1月7日から米国バルチモアで開催されている磁性分野の国際会議である、第10回Joint MMM/Intermag Conference(MMM-Intermag 2007)で発表しました。
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ハードディスクの記録密度を増やす垂直磁気記録に関する研究開発は、すでに実用化段階に入りました。今後、より高密度の磁気記録を実現するためには、磁性材料を人工的に規則正しく並べたパターンドメディア(注8)と呼ばれる記録媒体が必要となると考えられています。
一方、アルミニウムを陽極酸化したアルミナでは、ナノメートルサイズの無数の細孔(ナノホール)が形成されることが知られています。形成されたナノホールを磁性金属で充填することで、パターンドメディアの実現が期待できます。
アルミナのナノホールは、自己組織化的に蜂の巣状(六方細密構造)に形成されるため、円周方向に磁気記録するハードディスクには不向きな構造でした。それに対して当研究グループは、アルミナナノホールを一次元的に配列させる技術として、アルミニウム表面にライン状に凹凸のパターンを形成し、アルミナナノホールを一次元的に配列することに成功しています(図2(a)。2005年6月27日発表)。しかし、一次元配列の間隔は45 nmまでが限界でした。
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これまでのアルミナナノホールの一次元配列は、アルミニウム表面にライン状に凹凸のパターンを形成し、凹部(グルーブ)にナノホールを1列に配列するものでした。今回、陽極酸化条件を最適化することにより、グルーブ内に2列のナノホールを形成し間隔を微細化する技術を開発しました(図2(b))。
今回開発した技術を用いて、現状の電子線描画の限界に近い50 nm間隔の凹凸ラインでも、凹部の幅25 nmの両側にナノホール列を形成し、25 nm間隔を実現できました(図1)。これは、1インチあたり1テラビットの密度に相当します。
MMM-Intermag 2007で当研究グループは、磁性体を充填したナノホール磁性層(ナノホール配列としてはランダム)の下に軟磁性下地膜(注9)を形成し、垂直磁気記録ヘッドによる記録再生に成功したことも発表しています。今後は、ナノホールを25 nm間隔で円周方向に配列し、軟磁性下地膜形成を含む記録媒体を作成し、1平方インチあたり1テラビットの記録再生を目指す基礎研究を行っていきます。
以上
株式会社山形富士通
厚木分室(株式会社富士通研究所 厚木研究所内)
電話: 046-250-8813(直通)
E-mail: nanotech-mag@ml.labs.fujitsu.com
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