PRESS RELEASE (技術)
2006-0207
2006年12月18日
富士通株式会社
~“いつでもQoS(Quality of Service)”を実現~
当社はこのほど、総務省の委託研究であるUbilaプロジェクト(注1)において、大規模ネットワークでオンデマンドでの品質保証(QoS)を実現する技術を開発しました。ネットワークを分割して管理制御する分散アーキテクチャーを採用することで(図1)、大規模ネットワークであっても必要な時に必要な通信品質を確保できます。またWebサービスとして品質保証サービスAPI(Application Program Interface)を開発し、本技術と連携したアプリケーションの開発を容易にしました。
これにより、次世代ネットワークなどで導入が予定されている品質保証機能をスケーラブルに実現し、利用者やアプリケーション提供者が広く利用できるようになります。
近年、国内外で次世代ネットワークの標準化検討や導入がすすめられており、IPネットワークでの品質保証が重要な機能として注目されています。いつでもどこでもさまざまなネットワークサービスが利用できるユビキタスネットワーク社会に向けて、FTTHなどユーザーのアクセス回線の広帯域化も進んでおり、今後はコアネットワークのリソースが不足し通信品質が劣化することも懸念されます。必要なときに通信品質を確保することができ、かつさまざまなアプリケーションやユーザーのニーズに対応できる、スケーラブルな品質保証制御技術が求められます。
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品質保証を行うためには、エッジルータ間でパスの状態(通過リンクの帯域など)を管理し、ユーザーからの要求に対して、帯域などのリソースを割当てる処理が必要です。パス数は、エッジルータ数の二乗オーダーで増大するため、ネットワークが大規模になると管理するパス数は膨大になります。また、現在はネットワークプロバイダーやキャリアが帯域設計や優先制御を行っており、ユーザーやアプリケーションサービス提供者側から通信品質を制御することはできません。しかし、今後ネットワークサービスが多様化していくと、アプリケーションサービスの中で簡単に通信品質を制御する手段が必要になると考えられます。
今回開発した、”いつでもQoS”(オンデマンド品質保証サービス)の特長は以下です。
図2 開発したAPIの概要 |
拡大イメージ |
大規模ネットワークを複数のドメインに分割して管理制御するアーキテクチャーを実現しました(図1)。リソースの管理や割当はドメインごとに行い、各ドメインでリソースの利用効率を高める経路制御を行います。さらにドメイン間連携機能によって、ユーザー端末間のオンデマンドでの品質保証を可能にします。これらにより、各ドメインで管理するパス数を削減できます。
“いつでもQoS”のためのAPIを、インターフェース記述の統一規格であるWSDL(注2)で記述し、Webサービスとして開発しました(図2)。これにより、さまざまなプラットフォームで記述されたサービスと本品質保証サービスとの連携アプリケーションの開発が容易になります。
開発したAPIを用いて品質保証要求ソフトウェアを作成し、ハイビジョン映像の配信や監視カメラ映像の伝送など、任意のアプリケーションの品質保証を、マルチドメイン環境でも簡易に得られることを確認しました。これにより、必要な時だけ監視カメラの映像を高品質で見るなどのサービスが可能になります。マルチドメイン構成にすることにより、受付処理時間が単一ドメインの場合に比較して約2分の1になりました。
本技術は、ネットワークの新しいサービスであるオンデマンド品質保証を実現するものとして、次世代ネットワークの核となる技術になることが期待されます。今後、Ubilaプロジェクトにおいては、ネットワークの通信品質の劣化を瞬時に判断するようなネットワーク計測技術(注3)と連携し、計測結果に基づいた動的な品質保証といったサービスの応用を実現していく予定です。また開発したAPIを公開し、さまざまなアプリケーションサービスとの連携をすすめていく予定です。
以上
富士通株式会社 ネットワークソリューション事業本部 テレコムソリューション事業部
電話: 044-754-2765(直通)
E-mail: on_demand_qos@ml.labs.fujitsu.com
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