Fujitsu The Possibilities are Infinite

 

PRESS RELEASE (サービス)

2006-0185
2006年11月13日
富士通株式会社

H.264採用!ハイビジョン映像伝送装置「IP-9500」販売開始

~放送業界向けに、ハイビジョン映像のリアルタイム伝送を実現~

当社は、ブロードバンド映像ソリューション「Broadsight(ブロードサイト)」(注1)の新ラインナップとして、主に放送業界を対象に、高効率映像符号化方式H.264 (注2)を採用したハイビジョン映像(注3)伝送装置「IP-9500」を本日より販売開始いたします。

本製品は、主にハイビジョン放送中継や事業者間伝送に使用するもので、映像伝送装置としては国内で初めてH.264を採用しています。独自のH.264高画質化技術により従来のMPEG-2(注4)と比べて2倍以上の高い圧縮効率を実現することでデータ量を半減し、世界に先駆けて10Mbps以下のネットワークによるハイビジョン映像伝送を実用化しました。これにより、一般の光ブロードバンドネットワークを通して、ハイビジョン映像伝送の通信費用を10分の1程度に削減でき、将来的には今後普及が予想されるIP放送への適用も見込まれます。

なお、本製品については、11月15日(水曜日)から11月17日(金曜日)に幕張メッセで開催される「2006国際放送機器展:InterBEE 2006」に出展します。

近年、地上デジタル放送への移行、一般家庭への高画質テレビの普及などに伴い、ハイビジョンコンテンツが増加しており、放送業界では、ニュースやスポーツ中継などに際し、高品質な映像の迅速な収集が求められています。その際、これまでは衛星を使った映像中継・収集が主流でしたが、ネットワークの広帯域化・低価格化が進み、ブロードバンドネットワークを利用した映像中継・収集も増加しています。

「IP-9500」はH.264を採用しており、放送業界のネットワークによる映像伝送を安価に可能にします。また、通信事業者においても、ネットワーク利用を促進するツールとして、今後、国内外で需要の増加が見込まれています。

H.264は符号化時の演算量が膨大で、通常、回路規模が大きくなりますが、本製品では株式会社富士通研究所(注5)が開発した独自のH.264制御アルゴリズムにより高画質化と処理量の削減を同時に実現し、19インチラック1Uサイズの小型化を実現しました。


利用シーン

  1. イベント映像の収集:ライブ中継用の放送素材として、高校野球地区予選やお祭りなどのイベントの映像を収集
  2. 定点カメラ映像の収集:定点監視カメラによる被災地での災害・事故発生時のニュース映像、および天気予報の背景映像を収集
  3. 放送映像の伝送:プロダクションやコンテンツ制作者の保有する放送映像を放送事業者に伝送
  4. 映像の局間伝送:本局と支局間、キー局とローカル局間などでの番組映像や素材映像の伝送

本製品の特長

  1. H.264を採用したハイビジョン映像のエンコーダー・デコーダー

    最新の映像符号化方式H.264の採用により、ハイビジョン映像を符号化、伝送します。H.264は、MPEG-2と比べて2倍以上の高い圧縮効率のため、10Mbps以下のネットワークによるハイビジョン映像のリアルタイム中継や、映像保存用のディスク容量の半減が可能です。このため、今後、急速な普及が予想されるIP放送などへの適用が見込まれています。

    装置の設定変更で、エンコーダーまたは、デコーダーとして動作します。


  2. 19インチラック1Uサイズの小型化を実現

    株式会社富士通研究所が開発した独自のアルゴリズムによりエンコード時の処理量を削減、回路規模をおさえ、19インチラック1Uサイズの小型筐体を実現しました。


  3. 人間の視覚を考慮した高画質映像

    人間の視覚を考慮し、画質劣化が気になる顔などを部分抽出し、その部分の圧縮率をおさえることで、画質を安定させています。数値では表せない主観評価にて、良好な結果を得ています(当社独自の調査による)。


  4. 装置内に映像を一次蓄積し、細いネットワークでも伝送が可能

    符号化した映像・音声を装置内に一時的に蓄積し、伝送することができます。これにより、従来はビデオテープなどの媒体渡し、もしくは衛星や専用線で伝送していたハイビジョン映像を1Mbps程度の細いネットワークでも伝送することが可能です。


販売価格、および出荷時期

製品名 販売価格(税別) 出荷時期
「IP-9500」 360万円 2006年12月
(海外向けは2007年3月予定)

・システム構成によって必要台数は異なります。

販売目標

放送業界、通信事業者、海外のお客様も含めて2008年度末までに2,000台、80億円の受注を目標とします。(当社の決算期は3月末日です。)

主な仕様

映像 入力(エンコーダー時) HD-SDI、HDMI (注6)
出力(デコーダー時) HD-SDI、NTSC(モニタ用ダウンコン出力)、
HDMI(注6)
同期(デコーダー時) BB入力同期、3値入力同期
音声 入出力 HD-SDIエンベデッド、アナログ音声キャノン平衡、
HDMI(注6) 、双方向音声用端子
ネットワーク LAN 10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T
オプション DVB-ASI(注6)
データポート RS-232C
映像符号化 H.264 HP@L4、1080i
音声符号化 MPEG-1 L2、MPEG-2 AAC(注6)
外形寸法(W×D×H) 425 × 350 × 42 mm(突起物を除く)
重量 約6kg
電源 AC100V
動作温度 -10~55℃(低温起動を除く)

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。


以上

注釈

  注1 「Broadsight」:
当社が2004年3月に提供開始した、インターネット上での最適な映像伝送を実現するブロードバンドソリューション。
  注2 H.264:
映像符号化方式の一つで、MPEG-2などの従来方式に比べて圧縮効率の高さが特長。ITU-T(国際電気通信連合・電気通信標準化部門)とISO/IEC(国際標準化機構/国際電気標準会議)が共同で策定した、最新の映像圧縮の国際標準規格。従来方式であるMPEG-2などの2倍以上の圧縮効率を実現すると言われており、携帯電話用途などの低ビットレートから、ハイビジョンクラスの高ビットレートに至るまで幅広く利用されることを想定している。
  注3 ハイビジョン映像:
高精細テレビジョン一般の総称。標準のNTSC方式の走査線が525本であるのに対して1,125本、水平方向の画素数はNTSCの720画素から1,920画素に増え、画質が向上している。画面の縦横比もNTSCの横4:縦3に対して横16:縦9とワイドになり、臨場感が増している。
  注4 MPEG-2:
ITU-TとISO/IECが共同で策定した映像圧縮の国際標準規格。デジタル放送やDVDビデオなど、広く利用されている。
  注5 株式会社富士通研究所:
代表取締役社長 村野和雄、本社 神奈川県川崎市。
  注6 : 2007年以降対応予定。

関連リンク

本件に関するお問い合わせ

サービスビジネス本部 ネットワークビジネス推進統括部 公共ネットワークサービス推進部

電話: 03-6424-6204(直通)
E-mail: broadsight@pss.fujitsu.com


プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。