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PRESS RELEASE (サービス)

2006-0083
2006年5月12日
富士通株式会社

国内初、工場間でUHF帯RFID入出荷管理システム稼動

~当社那須工場と小山工場間で、部品入出荷管理の自動化・発注要求のリアルタイム化を実現~

当社はこのほど、UHF帯RFIDタグ付きリライタブルシートを「部品引取要求票」(注1)に用いた部品入出荷管理システムを開発し、モバイルシステムを製造する当社那須工場(注2)と同工場に部品を供給する小山工場(注3)との間で、5月24日より稼動させます。これは、国内で初めてUHF帯RFIDタグ付きリライタブルシートを、JIT(Just in Time)方式の生産システムに応用し、部品入出荷管理の自動化・発注要求のリアルタイム化を実現したものです。

通信距離が3~4mと長いUHF帯RFIDの特長を活かし、出荷時・入荷時に部品の一括同時読み取りが可能となるため、検品作業の高精度化と省力化が実現するとともに、JITを工場内で徹底することで、過剰な部品在庫の発生を防止し、製造工程管理の大幅な効率化が可能になります。

今後は、本システムを社内のみならず、サプライヤー・セットメーカー間のSCMに適用するソリューションとして、製造業、物流業などのお客様に幅広く提供してまいります。

当社では、「ものづくり革新」の一環として、「モノと情報の見える化」を推進しております。那須工場、小山工場では、JIT方式の生産システム導入を進め、着実に成果を上げてまいりました。

JITによる効率化をさらに進めるうえで課題となったのが、出荷・入荷時の検品作業の向上と省力化です。従来のバーコードなどを用いた方法では、検品ミスが生じたり、作業自体も時間と手間がかかるものでした。

こうしたことから、今般、当社はUHF帯RFIDによる入出荷管理システムを開発し、当社の那須工場-小山工場間で稼動させることに成功しました。

UHF帯RFIDは、他の帯域のRFIDに比べて長距離での読み取り性能に優れているため、ゲート通過時の一括読み取りが可能であり、検品作業の精度向上と省力化を実現します。

これを「部品引取要求票」に採用することで、部品の生産状況・使用状況のリアルタイムな把握が可能となります。これにより製造プロセス全体へのより本格的なJITの展開が実現し、過剰な部品在庫の発生防止、製造工程管理の効率化に貢献します。この「部品引取要求票」は、500回以上の再印字が可能なRFIDタグ付きリライタブルシートを使用しており、タグコストや紙消費量の削減を実現しています。

なお、本システムは、昨年5月より13.56MHz帯RFIDタグを使って運用してきたパイロットシステムをUHF帯RFIDタグに切り替えたものです。今後は、本システムを社内のみならず、お客様向けのソリューションとして、他の製造業、物流業などのお客様に幅広く提供してまいります。



本システムの概要については、2006年5月18日(木曜日)から5月19日(金曜日)に東京国際フォーラムで開催される「富士通フォーラム2006」でご覧いただけます。

本システムの特長

  1. 作業効率の大幅な改善を実現

    当社小山工場では、モバイルシステムを製造する那須工場向け製品の段ボールに、UHF帯RFIDタグ付きリライタブルシートによる「部品引取要求票」を貼付し、それらをパレットに積んだまま、RFIDリーダ・ライタを内蔵したゲートを通過して一括同時検品を実現します。また那須工場での入荷時も、段ボールに梱包された状態のまま一括検品します。これにより、検品精度が向上するとともに、検品済データの入力や現品とのつき合わせなどの関連作業が大幅に軽減されます。また、入荷した部品をどの棚に配送・入庫するかというデータを予めRFIDタグに書き込むことで、工場内の配送ミスを防止することも可能になります。


  2. 「部品引取要求票」により給材・現品管理の効率化を実現

    <<RFIDタグ付きリライタブルシートを使った「部品引取要求票」>>

    入荷した段ボールに貼付していた「部品引取要求票」は、製造ラインで開梱されると取り外されて次の部品要求のトリガーとなります。「部品引取要求票」に搭載されたRFIDタグを読み込ませると、その情報は瞬時にネットワークを介してサプライヤーである小山工場に「発注情報」として伝達されます。小山工場ではそれが新たな「部品引取要求票」としてリアルタイムに印刷され、次の出荷部品が準備されます。このように必要な時に必要な分だけ、部品が引き取られるようになり、那須工場の在庫を約半分に削減することができました。


  3. 実績ある生産管理パッケージ「glovia.com」との連携

    RFIDタグ付きリライタブルシートを使った「部品引取要求票」を、単なる現場回転のためのアイテムにとどめることなく、生産管理パッケージ「glovia.com(注4)に連動させております。これにより、部品要求と発注処理との連動、部品の入出荷時点での経理処理・倉庫管理との連動など、より高度な業務運用を実現しています。

  4. リライタブルシートの再利用により、運用コストの低減と環境配慮を実現

    リライタブルシートは、500回以上の券面書換え(リユース)に耐えるため、RFIDタグの利用コストを低減するとともに、紙の消費量を大幅に削減することが可能になりました。

本システム開発における協力各社の取り組みについて

本システムで採用したUHF帯RFIDタグ付きリライタブルシートおよびリライタブルシートプリンタの開発にあたり、下記の企業が参加し、各社一体となって現場環境に合わせた機能強化と改善に取り組みました。


  ・富士通フロンテック株式会社(流通事業本部システム事業部)
UHF帯RFIDタグ付きリライタブルシートの企画・開発(株式会社リコーと共同開発)。
リライタブルシートに搭載するUHF帯RFIDタグの開発。
UHF帯RFIDタグ付きリライタブルシートプリンタの企画・開発。
リライタブルシートプリンタに内蔵するUHF帯RFIDタグリーダ・ライタモジュールの開発。

  ・株式会社リコー(サーマルメディアカンパニー産業用リライタブル事業推進室)
繰り返し印字・消去ができる感熱書換え型フィルム(商品名:RECO-View®)を用いたUHF帯RFIDタグ付きリライタブルシートの開発。

  ・パナソニック コミュニケーションズ株式会社(デバイスカンパニー情報機器カテゴリー)
工場などの環境下でも鮮明な印字消去を実現し、UHF帯リーダ・ライタを内蔵しRFIDタグ情報の高精度な読み取りを可能にしたUHF帯RFIDタグ付きリライタブルシートプリンタの開発。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。


以上

注釈

  注1 「部品引取要求票」:
部品サプライヤーから組立工場へ部品引取を行う際に部品に貼付される伝票。
  注2 那須工場:
栃木県大田原市。モバイルシステムなどを製造する当社の基幹工場。
  注3 小山工場:
栃木県小山市。光伝送装置などを製造する当社の基幹工場。
  注4 「glovia.com」:
glovia.com」:当社の100%子会社であるグロービア インターナショナル インコーポレイテッド(本社:米国カリフォルニア州 エルセグンド)が開発し、同社と当社で全世界に販売する生産管理パッケージで、全世界約1,200サイトに導入されている。富士通グループ内でも世界の約40工場の生産管理業務に採用。

関連リンク

本件に関するお問い合わせ

ユビキタスシステム事業本部 ユビキタスビジネス推進部

電話: 03-6252-2662(直通)
E-mail: retail@fujitsu.com


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