Fujitsu The Possibilities are Infinite

 

PRESS RELEASE

2006年3月24日
国立大学法人東京工業大学
株式会社富士通研究所
富士通株式会社

世界初!次世代の大容量FeRAMを可能とする新材料を開発

国立大学法人東京工業大学(以下、東京工業大学)と株式会社富士通研究所(注1)、および富士通株式会社(以下、富士通)は、次世代のFeRAM(エフイーラム)(注2)に向けて、ビスマスフェライト(以下、BFO)(注3)を元に、世界で初めて、記憶保持能力が現行の5倍以上となる新材料を開発しました。この新材料を用いることで、現行の180ナノメートル(以下、nm)テクノロジーと同様の構造で次世代の65nmテクノロジーのFeRAM開発が可能となり、256メガビット(以下、Mbit)の大容量メモリを可能にします。

本技術の詳細は、3月22日から東京で開催される応用物理学会講演会で発表されています。なお、本技術について、東京工業大学は文部科学省科学技術振興調整費を受けています。

開発の背景

情報ネットワーク社会が進むにつれ、より小型で簡便、かつ高セキュリティのICカードなどが求められています。これらの製品には、低消費電力で高速な不揮発性メモリ(注4)を内蔵しています。FeRAMは、これを実現するメモリとして利用されてきています。富士通は1999年からFeRAMの量産出荷をしており、現在1Mbitまでの製品を提供しています。

課題

しかし、FeRAMの現行材料のチタン酸ジルコン酸鉛(以下、PZT)(注5)では、記憶保持能力の制約から、さらなる微細化に対応できず、130nmテクノロジーが限界とされてきました。そのため、FeRAMの大容量化の限界は、2009年と予想されていました。

開発した技術

今回、FeRAMの材料として、BFOに微量のマンガンを添加することにより、リーク電流を低減し、残留分極量(記憶保持能力)が現行材料PZTの5倍以上にあたる180~220マイクロクーロン毎平方センチメートル(μC/cm2)を保有する新材料を開発しました。これによって、FeRAMのさらなる微細化が可能になります。

効果

今回開発した新材料を用いることで、現行の180nmテクノロジーと同じ構造で、65nmテクノロジーのFeRAM開発が可能となり、2014年頃まで微細化・大容量化が可能になると予想されます。

また、現在の最大容量1Mbitに対して256Mbitの大容量化が可能になり、セキュリティ用途以外にも、瞬時に立ち上がるクイックオンコンピュータや、紙面情報の読み込み・閲覧が可能な電子ペーパー新聞などへの応用が見込まれます。

今後

今後は、FeRAM混載LSIとして組み込み技術を確立し、2009年の実用化(90nmテクノロジーFeRAMのサンプル出荷)を目指します。


以上

注釈

  注1 株式会社富士通研究所:
社長 村野和雄、本社 神奈川県川崎市。
  注2 FeRAM:
Ferroelectric Random Access Memory。低消費電力で、高速書き込み、書換え可能回数が膨大という特長の不揮発性メモリ。富士通では製品名として「FRAM」と表記している。
  注3 ビスマスフェライト(BFO):
BiFeO3の化学式であらわされるビスマス、鉄、酸素からなる結晶構造の強誘電体。
  注4 不揮発性メモリ:
電源を切っても記憶を保持できるメモリ。
  注5 チタン酸ジルコン酸鉛(PZT):
Pb(Zr,Ti)O3の化学式であらわされる鉛、ジルコニウム、チタン、酸素からなる結晶構造の強誘電体。

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株式会社富士通研究所 基盤技術研究所 シリコンデバイス研究部 FRAM担当
E-mail:info-fram@ml.labs.fujitsu.com

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電話:03-5322-3383
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