[ PRESS RELEASE ](技術) |
2005-0174
2005年11月14日
株式会社富士通研究所 |
映像圧縮の最新規格H.264に準拠した高画質化技術を開発
〜標準テレビ映像の録画・再生が超低消費電力で可能に〜
今回開発した技術は、携帯端末向け地上波デジタル放送や次世代DVDで今後注目される映像圧縮規格H.264に準拠し、AV機器や情報家電などにおいて高品質なデジタル映像の長時間録画・再生を実現するためのものです。
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開発したコア回路 | LSI搭載時のイメージ | 想定される製品用途 |
開発したコア回路を搭載した試作ボードと製品用途
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【開発の背景】
近年フラッシュメモリや書込み可能なディスクメディアの大容量化・高速化の飛躍的な進歩とともに、動画対応のデジタルカメラやハードディスク搭載のビデオカメラなど、家庭で手軽にデジタル映像を扱う機器に大きな注目が集まっています。一方、国際標準化の場においても、従来方式の圧縮性能を大きく上回る最新の映像圧縮規格H.264が策定され、携帯端末向け地上波デジタル放送や次世代DVDなど映像分野での早期実用化が期待されています。
【課題】
しかし、H.264は従来に比べて複雑な圧縮方式で、一般的にはMPEG-2(注3)の10倍程度の処理量が必要とされます。高い圧縮性能と高画質を維持したまま、電池でも動かせるような低消費電力でH.264の圧縮処理を実現するのは困難でした。
【開発した技術】
小型・低消費電力化技術
圧縮の際に最も処理量が多くなる前画面との動きの変化の抽出において、画面全体を隈なく探索するのではなく、縮小画面を段階的に探索しながら徐々に対象を絞り込む独自方式を考案しました。この方法によりLSI化に適した少ない演算量での処理が可能となり、100ミリワット以下で、標準テレビ画質映像をリアルタイムでH.264圧縮することが可能です。
高画質化制御技術
人間の視覚において画質劣化が気になる絵柄(顔、ゆっくり動く物体など)を常時追跡し、該当部分をあまり圧縮せずに高画質となるように、メリハリのある圧縮制御を行うアルゴリズムを開発しました。MPEG-2圧縮と比べ3分の1以下のデータ量で同等の画質を実現しました。
【効果】
今回開発した技術により、電池駆動で動作するデジタルAV機器においてもH.264を用いた長時間・高画質録画ができるようになります。
【今後】
今後、量産化に向けて、共通コア回路としての柔軟性を高め、2006年末の製品化を目指します。また、HDTV(高精細テレビ)対応に向けた次期コア回路の研究開発と応用システムの検討を進めていきます。
開発したコア回路の主な仕様
機能 |
H.264/AVC対応の映像圧縮・復元 |
対応するプロファイル/レベル(注4) |
メインプロファイル@レベル3.0 |
最大画面サイズ |
720画素 x 576ライン(標準テレビ相当) |
動作クロック |
54MHz(メモリI/Fは108MHz) |
回路規模 |
約200万ゲート |
消費電力 |
100ミリワット以下(90nmプロセス使用時) |
以上
注釈
- (注1)株式会社富士通研究所:
- 社長 村野和雄、本社 神奈川県川崎市。
- (注2)H.264:
- ITU-T(国際電気通信連合・電気通信標準化セクタ)とISO/IEC(国際標準化機構/国際電気標準会議)が共同で策定した、最新の映像圧縮の国際標準規格。
- (注3)MPEG-2:
- ITU-TとISO/IECが共同で策定した映像圧縮の国際標準規格。デジタル放送やDVDビデオなどに採用されている。
- (注4)プロファイル・レベル:
- H.264で規定されている機能・性能の対応基準を示す指標。
関連リンク
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