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[ PRESS RELEASE ](技術)
2005-0016
2005年2月7日
株式会社富士通研究所
富士通株式会社

高い通話品質の無線IP電話システムを実現する技術を開発

〜IEEE 802.11e仕様に準拠、音声データを優先通信〜

株式会社富士通研究所(注1)と富士通株式会社は、無線LANを利用したIP電話(無線IP電話) で通話中の音切れを無くし、高い通話品質を可能とする技術を開発しました。

今回開発した技術は、IEEE(注2)で現在標準化が行われている規格802.11e(注3)に準拠し、他の端末の通信状況を把握しながら、常に一定の通話品質を確保する機能を実現しています。

今回開発した技術は、ユビキタス時代にオフィスでの利用が期待される無線IP電話を快適に利用するためのものです。

【開発の背景】

無線LANは、データ通信の高速化と利用機器の低価格化によって、オフィス、駅、家庭など様々なところで利用できるようになってきました。オフィスでは既に設置された無線LANに対応したIP携帯電話を内線電話に利用する用途が広がりつつあります。また、オフィス内で使われる内線用IP携帯電話を、外出先では一般の携帯電話として利用することが可能なモバイルセントレックスサービスなど、無線IP電話は企業ユースを中心に今後急速に進むものと思われます。

【課題】

無線IP電話は、同時に通信する他の端末からのデータ通信や接続端末数(混雑度)の影響、電波状況の変化などにより、相手の声が遅れて聞こえたり、音が途切れたりと、通話品質が不安定になりやすいことが知られています。同時に通信する端末からのデータ通信の影響に対しては、現在国際的に標準化が進められている規格IEEE 802.11eに準拠することで対応が可能ですが、端末の混雑度、電波状況の変化による影響については十分な対策が講じられていません。

【開発した技術】

今回開発したのは、無線LAN環境でのIP電話において、高い通話品質を保障する技術です。本技術の特長は以下のとおりです。

  1. IEEE 802.11eに準拠

    IEEE802.11eに準拠した無線LANで通信することで、音声データは文字データなど他のデータ通信よりも優先されます。これにより遅延が少なく、音切れのない高い通話品質を実現できます。

  2. 端末の接続制御と帯域管理

    SIPサーバ(注4)が端末の識別と認識といった接続制御を行うことで、同時接続可能なIP電話端末数を越えて接続されることがなくなります。また、アクセスポイント(注5)がデータの識別と通信帯域の管理を行い、通信速度に応じた帯域を確保します。これらにより、より高い通話品質を実現します。

  3. 音声データ通信速度の最適化

    電波状況に合わせて、音声データの通信速度を最適化します。移動によりIP電話端末が壁や柱の陰になり電波が弱い状況でも通話品質を安定させます。

【効果】

今回開発した技術を利用したIP電話システムにおいて、音声通話と同時に毎秒3メガビットを越えるデータ通信を行い、IP電話の音声パケット損失0(音切れなし)を確認(注6)しました。また、端末14台の同時接続においても高品質の通信が可能なことを確認しています。

オフィスでの内線IP携帯電話、駅などでの無線LANサービスでの利用において、安定した高い通話品質を確保することができるようになります。また、2007年ごろに予想される固定網と移動網を融合したFMCサービス(注7)にも利用できます。

【今後】

IEEE 802.11eに準拠するアクセスポイントへの適用を中心に、無線LAN環境に対応したIP電話システム製品として早期に製品化を進める予定です。

【商標について】

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

概念図概念図
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注釈

(注1)株式会社富士通研究所:
社長 村野和雄、本社 川崎市中原区。
(注2)IEEE:
Institute of Electrical and Electronic Engineers。電気・電子分野で世界最大の学会。専門委員会で技術標準を定めている。
(注3)802.11e:
無線LANの標準規格のひとつで、QoS(Quality of Service)を実現する方式を規定している。
(注4)SIPサーバ:
IP電話における呼制御を行うサーバ。SIP(Session Initiation Protocol)は、IP電話を行うときに接続する端末情報を通知し、接続手順を交換するためのプロトコル。
(注5)アクセスポイント:
無線LANにおける基地局。無線LAN端末の通信は、アクセスポイントを経由して接続される。
(注6)音声パケット損失0(音切れなし)を確認:
IEEE 802.11bに準拠した無線LANで毎秒11メガビットの通信時。
(注7)FMC(Fixed Mobile Convergence)サービス:
利用者が固定網と移動網を意識せずに、同じ電話番号、同じ端末で利用できるサービス。

関連リンク

プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。ご不明な場合は、富士通お客様総合センターにお問い合わせください。

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