[ PRESS RELEASE ] |
平成17年1月13日
富士通株式会社
株式会社富士通研究所
東レ株式会社
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世界初! 植物系素材の大型プラスチック筐体をノートパソコンに採用
〜「環境負荷低減」と「石油資源の消費削減」に貢献〜
近年、オゾン層の破壊や大気汚染などの環境汚染と、産業廃棄物や有毒廃棄物の増加などの様々な環境問題が地球規模で発生しています。これら問題を解決するために循環型社会の形成が求められており、世界的に環境負荷低減に対する法制化が進んでいます。IT分野においても、日本国内ではグリーン購入法(注1)、資源有効利用促進法(注2)、PRTR法(注3)など環境関連法規の整備がなされ、さらに近年は環境配慮促進への動きも出てきています。
また、石油や石炭といった化石資源の消費によるCO2の増加に伴い地球温暖化が急速に進んでおり、CO2排出量の低減が急務となっています。このような状況において、地球環境への負荷が小さく、資源に限りがある石油の代替材料として植物系素材のプラスチックの活用に関心が高まっています。
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植物系素材プラスチックを採用した ノートパソコン「FMV-BIBLO NB80K」 |
富士通と富士通研究所は、2002年6月にトウモロコシなどを原料とするポリ乳酸(注4)系組成を最適化した植物系素材をノートパソコンの筐体小部品に採用する技術を世界で初めて開発し、ノートパソコン「FMV-BIBLO」に採用しております。
東レは、ポリ乳酸を地球環境配慮型先端材料と位置づけ、統合ブランドである“エコディア”を冠し、繊維、プラスチック製品の市場展開を行うとともに、ポリ乳酸の高性能化技術の開発を行ってきました。
これまで3社は、植物系素材を筐体に適用し、用途を拡大していくために、難燃性、耐熱性の改善に取り組んできましたが、ポリ乳酸はガラス転移温度(注5)が低いため成形が困難であり、大型筐体への適用、量産性の向上が課題になっていました。
今回、3社はこれらの課題を解決するために、ポリ乳酸とガラス転移温度が高い石油系樹脂とを混合するポリマーアロイ化技術(注6)と難燃化技術(注7)を組み合わせることにより、IT機器の大型筐体に必須となる難燃性と耐熱性を合わせもちつつ、高い成形性を実現する新材料を開発し、大型筐体の量産性の向上を図りました。
新材料は、約50%が天然素材(植物系素材を含む)であるため、石油資源の消費を抑えます。また、ノートパソコン筐体に採用した場合、従来の石油系樹脂と比べてライフサイクル全体でのCO2排出量を約15%削減できるため、環境負荷の低減も可能となります。
今後、3社は新材料の適用や用途を拡大することにより、「環境負荷低減」と「石油資源の消費削減」に貢献してまいります。
以上
注釈
- (注1)グリーン購入法(2001年4月より施行):
- 国の機関や都道府県・市町村などの地方公共団体、事業者、国民、製造メーカのそれぞれが、環境負荷の小さい環境物品などの調達・購入を推進することで、持続可能な社会の構築を目指すことを目的とした法律。
- (注2)資源有効利用促進法(2001年4月より施行):
- 循環型経済システム構築のため、(1)事業者による製品の回収・リサイクルの義務付け、(2)製品の省資源化・長寿命化による廃棄物の発生抑制対策、(3)回収した製品の部品の再利用対策を推進する法律。
- (注3)PRTR法(2000年3月より施行):
- 企業などが化学物質の排出量および廃棄物としての移動量を行政に報告し、それを公表することにより化学物質・環境汚染物質による環境リスクの削減を図ることを目的とした法律。
- (注4)ポリ乳酸(Poly Lactic Acid):
- トウモロコシやジャガイモなどのでんぷんや糖類を発酵して得られる乳酸を原料にした植物由来のプラスチック。
- (注5)ガラス転移温度:
- ガラス転移(高分子物質を加熱した場合にガラス状の硬い状態からゴム状に変わる現象)がおこる温度。
- (注6)ポリマーアロイ化技術:
- 異なった性質をもつ高分子材料を効果的に複合させることにより、高性能・高機能な新しい材料を創りだす技術
- (注7)難燃化技術:
- 難燃剤の添加によりプラスチックの燃焼を抑える技術。電子機器の難燃性は、UL-94規格により規格化。
関連リンク
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