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[ PRESS RELEASE ](技術)
2004-0230
2004年12月21日
株式会社富士通研究所

表現豊かな文字を綺麗に高速に表示できる
携帯電話向けソフトウェアを開発

株式会社富士通研究所(注1)は、株式会社モリサワ(注2)と共同で、携帯電話向けに複数の文字デザインを綺麗に高速に表示できるソフトウェアを開発しました。

本ソフトウェアにより、複数の文字デザインを使用することで、より表現豊かなコンテンツの提供、メールのやりとりが可能となります。

今回開発したソフトウェアは、携帯電話をより楽しく快適に利用するためのものです。

【開発の背景】

現在日本で8500万人(注3)が所有している携帯電話は、高機能化が進み、様々なサービスが提供されることに伴い、複数の文字デザインを使ったコンテンツの提供やメールのやりとりなど、より表現豊かなコミュニケーションへの要求が高まってきています。

【課題】

通常、携帯電話の表示にはドットフォント(注4)が用いられていますが、複数の文字デザインを忠実に再現し、高品質な文字表示を行うフォントに、パソコンで用いられているアウトラインフォント(注5)があります。文字画像のアウトラインデータ(輪郭データ)から、様々なデザインの文字を、綺麗に、任意のサイズで表示することが可能で、画面上で表示されたテキストの読み易さが格段に向上します。

しかし、アウトラインフォントを携帯電話に搭載するには、CPUへの負担を軽くし、表示にかかる処理速度を高速にする必要がありました。

【開発した技術】

今回開発したソフトウェアは、携帯電話で表示される文字をより綺麗に表現豊かにするためのものです。文字画像の輪郭を数学的な曲線で表し、輪郭内部を黒塗りすることで文字画像を作成するアウトラインフォントの文字画像作成を高速化することで実現しました。本ソフトウェアの特長は以下です。

  1. 文字輪郭の高速作成

    表示ディスプレイの解像度に合わせて、文字画像の輪郭を表す数学的な曲線の一部を直線に近似することで、文字輪郭の作成時間を短縮させています。

  2. 文字黒塗りの高速処理

    文字画像の輪郭作成と同時に、黒塗りをする領域を確定し記憶することで、輪郭内部の黒塗りにかかる処理時間を短縮させています。

【効果】

本ソフトウェアを用いることで、ゴシック体のアウトラインフォントを1画面(約100文字)あたり約0.3秒以下の実用レベルで表示することができるようになりました。

今までパソコン等で使用していた、さまざまな文字デザインを携帯電話で使用することが可能になり、個人が好きな文字を利用することや、表示するコンテンツを豊かに表現することで、携帯電話の使い方を拡げることが可能となります。

【今後】

今回開発した高速の文字表示ソフトウェアは、株式会社NTTドコモから発売される「FOMA® F901iC」に搭載(注6)されます。

今後、本ソフトウェアで対応する文字デザインの種類を拡大させていき、好みに応じて文字デザインを選択できるようにしていきます。また、カーナビやゲーム機などへの応用を検討していきます。

図1
図1 ドットフォント(左)とアウトラインフォント(右)

図2
図2 文字表示例(携帯電話画面)

【商標について】

「FOMA」は、株式会社NTTドコモの登録商標です。
その他、記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

(注1)富士通研究所:
社長 村野和雄、本社 川崎市中原区。
(注2)株式会社モリサワ:
社長 森澤 嘉昭、 本社 大阪市浪速区。
(注3)8500万人:
2004年11月現在。電気通信事業者協会調べ。
(注4)ドットフォント:
文字フォント形式の一つ。文字画像を構成する表示画面の1画素1画素の値をデータとして保存する形式。データを特に変換することなく文字画像を表示できるため、表示にかかる処理速度は最も早い形式だが、同一のデータで文字サイズを変化させることや、デザインを変更することは難しい。
(注5)アウトラインフォント:
コンピュータで扱う文字フォント形式の一つ。文字の形を文字輪郭のデータとして保持し、輪郭データの再現を行ってから、輪郭内部を塗潰すことによって文字画像を作成する。
(注6)「FOMA® F901iC」に搭載:
ゴシック体のみ。

関連リンク

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