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「BioServer」による高精度・高速創薬シミュレーションに成功〜免疫抑制や老化制御などの様々な新薬開発の加速化に貢献〜
今回の研究成果は、8月23日から開催された国際学会「International Conference on Biological Physics 2004」(スウェーデン イェーテボリ)で発表しました。また、本研究には、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「バイオ・IT融合機器開発プロジェクト」として実施した成果が含まれます。 【背景】最先端の創薬開発では、薬剤のターゲットとなるタンパク質と薬剤候補である分子がどれくらいの強さで結びつくのかを知ることが極めて重要です。また、現在の創薬開発は、実験を主体とするため、数十万から数百万とも言われる薬剤候補物質の中から効用のある薬剤を絞り込むには、一般に高価な試薬・装置を使用した上で10年以上にわたる研究が必要です。 このため、コンピュータを用いて薬剤候補を効率的に選別することが必要になっています。 【課題】コンピュータを用いて薬剤候補を選別するための計算は、タンパク質が数千から数百万個の原子で構成される大きな分子群であるため、汎用的なコンピュータや計算手法を用いて計算しても数十年もの膨大な時間がかかり、また、誤差も生じ易いものでした。このため、従来、実用レベルで結合エネルギー計算を行うことができませんでした。 【本製品の特長】今回、結合エネルギーを高精度、かつ実用的な時間で計算する技術として、以下を開発しました。この技術は、スタンフォード大学のVijay S. Pande助教授が開発したアルゴリズムをもとにしております。
これらの手法により、実用レベルの高精度・高速計算が可能になりました。このうち、(1)、(2)は高精度化に、(1)、(3)は高速化に寄与しております。 今回開発した技術は、結合エネルギー計算を数百の独立した小さなジョブに分割して、各CPUで別々に計算する手法です。このため、多数のパソコンから構成されるPC-Gridシステムに適していますが、多数のCPUを高密度に搭載した「BioServer」上でさらに効率的に動作させることができます。 【効果】今回、ほとんどの生物種に存在し、免疫抑制や老化制御に対する新薬開発の標的タンパク質であるFKBP(注3)というタンパク質と、数種類の薬剤候補化合物の結合エネルギーを、「BioServer」で計算しました。その結果、1mol当たり十数kcalレベルであった実験値との誤差を実用レベルの約2kcal以内に収めました。 また、今回開発した技術を「BioServer」に適用したことで、上記計算を2週間で完了させることができました。これは、1,800台のパソコンから構成される PC-Gridシステムと同等の性能を、1筐体(1,920CPU)で実現したことになります。 【今後】今後もソフトウェアと最新のサーバ技術を組み合わせた「ゲノム創薬研究ソリューション」の開発をさらに加速させ、ゲノム創薬研究を支援してまいります。 【商標について】記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。 以上 注釈関連リンク
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