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[ PRESS RELEASE ](技術)
2004-0141
2004年7月16日
東北大学多元物質科学研究所
株式会社富士通研究所

世界初! 均一な長さの短繊維カーボンナノチューブを開発

〜カーボンナノチューブ内への磁性金属充填にも成功〜

東北大学多元物質科学研究所(所長:中西八郎)の京谷隆教授グループと株式会社富士通研究所(注1)は共同で、世界で初めて、均一な長さの短繊維カーボンナノチューブの作製とチューブ内への磁性金属の充填に成功しました。カーボンナノチューブの磁性応用への道を拓くものです。

今回開発した技術は、カーボンナノチューブの応用の可能性を広げる新素材の開発に関する基礎研究の一環です。長さの揃った50ナノメートル(以下、単位についてはnm)までの短いカーボンナノチューブを実現し、しかも磁性も持たせることにより、特定のDNAやタンパク質の磁気分離やドラッグデリバリなどのナノバイオ応用、あるいは高密度磁気記録媒体への応用を目指すものです。

本技術の詳細は、7月11日から米国ロードアイランド州で開催された国際会議Carbon2004で発表しています。

【開発の背景】

現在、カーボンナノチューブの製造法として、アーク放電法、レーザー蒸発法、炭化水素触媒分解法などが知られています。しかし、これまではいかに長いカーボンナノチューブを作るかに力が注がれ、短いサイズにしてチューブの長さや直径を自在に制御する方法はありませんでした。

また、カーボンナノチューブの内部に様々な機能性物質を挿入することで、その応用範囲が飛躍的に拡がる可能性がありますが、ナノチューブの内部に効率よく連続的に物質を入れることは簡単ではありませんでした。

【開発した技術】

今回開発したのは、均一な長さの短いカーボンナノチューブを作製する技術と、チューブ内に金属を充填させる技術です。その特長は以下の通りです。

  1. 均一な長さの短繊維カーボンナノチューブ作製技術

    京谷教授グループはすでに、アルミニウム板を陽極酸化(注2)することで形成されるナノメートルサイズの無数の穴の内壁に、600〜800℃の高温で炭化水素ガスを流す化学気相成長法により、カーボンナノチューブを生成する技術を開発しています。今回、シリコン基板上に薄く堆積したアルミニウム層を用いることで、短く均一な長さのカーボンナノチューブを作製できました。アルミニウム層の厚さを変化させることでナノチューブの長さを極めて精密に制御することができます。 カーボンナノチューブ生成後、基板部分を強い酸で溶かせば剣山型のナノ構造が、表面のカーボンを除去した後に基板部分を強い酸で溶かせば、長さの揃った一本一本バラバラのカーボンナノチューブが作製可能です(図1)

    今回開発したナノチューブ作製技術、金属充填技術図1 今回開発したナノチューブ作製技術、金属充填技術
    [クリックすると拡大表示されます]
  2. カーボンナノチューブ内への金属充填技術

    陽極酸化したアルミニウムの穴の内側にカーボンナノチューブを生成し、表面のカーボンを除去した後、基板を陰極として電気メッキ処理することで、カーボンナノチューブ内に金属をほぼ100%,隙間無く充填することに成功しました。今回のカーボンナノチューブの内径は6〜8 nmであり、カーボンがつくるこのように小さなナノ空間に電気メッキ処理により金属を完全充填できたのは世界で初めてです。

【効果】

今回開発した技術を用いて、長さが50 nmに揃ったカーボンナノチューブの作製に成功しました(図2)。また、長さ300 nmのカーボンナノチューブに磁性金属であるニッケルと鉄の合金を充填することに世界で初めて成功しました(図3)。チューブの一方は閉じているので、磁性金属で満たされた「ナノコップ」と言えます。通常、ナノサイズの磁性金属は、裸の状態では空気中ですぐ燃えるなど極めて不安定ですが、今回作製したものは、コップ状のカーボンに覆われているので空気中でも安定であり、かつ液中に分散させて磁石に引き寄せられるなど磁性を有していることを確認しています(図4)

【今後】

合成方法はほぼ確立しましたので、今後、「磁性金属で満たされたカーボンナノコップ」の応用展開を進めていきます。高密度磁気記録媒体としての利用とともにナノバイオテクノロジー分野での応用の可能性を探ります。この方法で作成したナノチューブの結晶性は低いので化学反応性は高く、酵素やタンパク質などの様々な生体高分子をチューブ外壁に容易に付けることができると考えています。このような生体高分子を周りに付けた「磁性金属で満たされたカーボンナノコップ」は、特定のDNAやタンパク質を分離する磁気分離、患部に高周波磁場を照射することによる温熱療法への応用、あるいはドラッグデリバリなど高い性能を示す可能性があります。

以上

50 nmに長さの揃ったカーボンナノチューブ(剣山型)
図2 50nmに長さの揃ったカーボンナノチューブ(剣山型)

ニッケルと鉄の合金が詰まった300 nmの長さのカーボンナノチューブ
図3 ニッケルと鉄の合金が詰まった300 nmの長さのカーボンナノチューブ

ニッケルと鉄の合金を充填したカーボンナノチューブが磁石に引き寄せられる様子
図4 ニッケルと鉄の合金を充填したカーボンナノチューブが磁石に引き寄せられる様子

注釈

(注1)株式会社富士通研究所:
社長 村野和雄、本社 川崎市中原区。
(注2)陽極酸化:
対象とする金属を陽極とする酸化処理。アルミニウムの場合、表面に多孔質で電気絶縁性・耐磨耗性の高い酸化被膜ができる。

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