[ PRESS RELEASE ](技術) |
2004-0121
2004年6月30日
株式会社富士通研究所 |
印刷画像に見えないデータを埋め込む技術を開発
今回開発した技術は、印刷画像とインターネットなどを連携させた新たなサービスを実現させるお客様に、携帯電話やPDAを使った自然なインターフェースを提供するためのものです。
【開発の背景】
QRコード(注3)やバーコード(注4)が読める携帯電話の普及に伴い、印刷されたQRコードやバーコードを用いてインターネットに接続するサービスが始まってきています。QRコードやバーコードは白と黒の棒や点が幾何学的に並んだ機械のためのコードであるため、人間が見てもまったく意味がなく、誌面のデザインを損なうという問題がありました。そこで、人間に意味のある画像のデザインを損ねることなく、バーコードと同等のデータを埋め込む技術が求められてきています。
【課題】
従来、画像にデータを埋め込む技術としては電子透かしが用いられていました。電子透かしを利用して高画質の印刷画像にデータを埋め込むことは難しく、安定してデータを取り出すためには画質の劣化が避けられませんでした。また、ユーザーの利便性を考えると高速処理が必要ですが、電子透かしで埋め込まれたデータを取り出すための計算量が大きく時間がかかるという課題がありました。
【開発した技術】
今回開発した技術は、ステガノグラフィと呼ばれる技術の一種で、印刷画像にデータを埋め込む符号化技術と、カメラやスキャナで取得した画像データから埋め込んだデータを、高速・確実に読み取る復号化技術です。開発した技術の特長は、以下の通りです。
人間の目に見えない形でデータ埋め込みを実現する符号化技術
色や大きさによって人間の目の感度が違うという視覚特性を利用してデータを埋め込む技術です。このため、電子透かしで見られる画質の劣化がありません。また、1センチメートル(以下、cm)×1cm程度の小さな画像にも12桁の数字データを埋め込むことが可能です。さらに、デジタルカメラなどで撮影した画像にデータを埋め込むことや、一般的な家庭用カラープリンタでデータの埋め込まれた画像を印刷することができ、家庭でも手軽に扱うことができます。
高速読み取りを実現する復号化技術
画像データからの読み取りのしやすさを重視し、画像の濃度変化を用いて埋め込んだデータを復号する技術です。12桁の数字データを、携帯機器の内部処理だけで1秒以下(注5)で高速読み取りすることが可能です。
【効果】
今回開発した技術により、下記のような応用が可能となります。
- 雑誌に掲載されたお店の情報を簡単に取得
- CDのジャケット写真からアーティストの着メロを簡単に取得
- 名刺の写真から相手に簡単に通話
さらに、画像を使った販売促進のプロモーション活動や、画像入りカードを用いた新しい遊びなど、幅広い用途への適用が期待できます。
【今後】
携帯電話などの携帯機器への本技術の早期適用を目指し、ユーザー操作を少なくするなど、より使いやすいインターフェースの実現を検討していきます。また、携帯電話事業者、印刷機器メーカー、コンテンツプロバイダーなどとの連携を推進し、パーソナル市場、ビジネス市場を対象としたソリューションへの適用を進めていきます。
 概念図 [クリックすると拡大表示されます]
【商標について】
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
用語説明
- (注1)株式会社富士通研究所:
- 社長 村野和雄、本社 川崎市
- (注2)12桁の数字データ:
- 12桁の10進数で表現。電子透かしを利用した場合の100倍以上となる1兆までの数字を1cm×1cm程度の画像サイズに埋め込める。
- (注3)QRコード:
- 縦・横方向の模様で英数字・文字列(漢字・カナ)などを表現している日本で最も普及している2次元コード。
- (注4)バーコード:
- JIS(JIS-X-0501)として規格化され、商店に流通しているほとんどの商品につけられているJANコードが広く知られている。
- (注5)1秒以下:
- 富士通製Pocket LOOX(FLX3A)を使用した場合の処理時間は約0.4秒。
関連リンク
プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。ご不明な場合は、富士通お客様総合センターにお問い合わせください。

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