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次世代移動通信システム向け、高速・高感度なアンテナシステムを開発
今回開発したシステムは、次世代以降の移動通信基地局向けのものです。本システムを用いたフィールド実験の詳細は、3月22日より開催された電子情報通信学会総合大会で発表されています。 【開発の背景】第3世代移動通信システムの国際標準規格(IMT-2000)の1つであるW-CDMA方式は、国内では2001年にサービスがスタートし、現在、着実に加入者を増やしています。また、更なる高速化をめざしてHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)と呼ばれる最大毎秒14メガバイトの高速データ通信方式の開発も進められています。 アンテナの送信および受信方向に指向性を持たせることができるアダプティブアレイアンテナは、その高いアンテナ利得(注4)や優れた電波干渉(注5)除去能力により、今後の、無線基地局あたりの加入者の増加やデータ通信の高速化に対応し得る技術です。また、高い利得やアンテナの指向性により、携帯電話の通話時間の延長や無線基地局あたりのカバーエリア拡大の効果も期待できます。このことから、次世代移動通信システム向けとして最も期待されている技術の一つとして、現在、精力的に研究開発が行われています。 【課題】しかし、アダプティブアレイアンテナを実用化するためには、指向性ビームの高速形成や、反射などで生じる電波の複数経路(マルチパス)の高感度な検出など、アダプティブアレイアンテナ本来の性能を発揮させるための技術的課題がありました。また、温度などによってアダプティブアレイを構成する複数のアンテナ素子の特性が変化しても、安定して電波を送受信可能とする簡易で低コストの補正システム技術が必要でした。 【開発したシステム】今回、独自技術で構成したアダプティブアレイアンテナシステムをW-CDMA方式用に開発し、実用化に向けた課題を解決しました。その特長は以下の通りです。
【フィールド実験概要および効果】今回開発したアダプティブアレイシステム(図1)を用い、横須賀リサーチパーク(YRP)近郊の半径2キロメートルのエリアでフィールド実験を行いました。フィールド実験は携帯電話間の干渉を模擬した干渉局が存在する状態で、移動体端末を時速40キロメートルの速度で移動させながら行っています。 この実験により、高速なビーム指向性の形成、高感度なマルチパス検出を実証すると同時に、単体アンテナに比べ4倍以上の高い利得が得られること(アンテナ素子数が4本の場合)を確認しました。また、干渉局が存在する状態で端末が移動しても、常に最適なビームパターンを形成できること、温度変化などアンテナ素子の特性変化に起因するビームの揺らぎもない極めて安定した送受信が可能であることが確認できました。 【今後】今後、より複雑な電波環境を持つ市街地でのフィールド実験を通して本アダプティブアレイシステムの一層の性能向上を図り、実用化にむけた開発を進めていきます。 以上 用語説明
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