[ PRESS RELEASE ](技術) |
2004-0070
2004年4月16日
株式会社富士通研究所 |
どこにいても適切な手段で連絡を!ユビキタスIP電話システムを開発
今回開発したシステムは、通信手段やワークスタイルの多様化による不便さを軽減するためのもので、モバイルワーカーの業務支援製品に応用していきます。
【開発の背景】
企業活動において迅速かつ確実な連絡は必要不可欠ですが、内線電話にかけた相手が不在の場合には、携帯電話へのかけ直しや取次者を経由した連絡の取り直しなど、電話のかけ手・受け手の双方に余計な手間(コスト)が生じています。これは、ワークスタイルの多様化に加え、通信手段も固定電話、携帯電話、メール、さらにはパソコンやPDAを用いたIP電話など多様化が進みつつあるからです。
このことから、電話をかけたい相手の場所や状況に応じて、適切な通信手段を自動的に選択してくれるユビキタスIP電話の実現が期待されています。
【課題】
ユビキタスIP電話の実現には、ユーザーの場所や状況といったプレゼンスと呼ばれる情報を管理し、最も適切な通信手段をシステムが自動的に選択できるようにする必要があります。しかし、これまではユーザーは移動するたびに自分でプレゼンスを変更する必要があり、使い勝手の良いものではありませんでした。
また、プレゼンスに関しては標準的な通信手順(プロトコル)が決められています。しかし、これをイントラネット、インターネットの区別なく利用するためには、社内ネットワークを守るファイヤーウォールの設定を変更する必要があり、ユビキタスIP電話実現に向けての障害となっていました。
【開発したシステム】
今回開発したのは、ユーザーの負担を軽減しながら、安全にユビキタスIP電話を実現するシステムです。その特長は下記の通りです。
プレゼンスの統合管理により、最適通信手段を自動選択
RFIDタグ(注2)で検出した位置情報や、パソコンやPDAのネットワーク接続情報を統合し、ユーザーの場所や状況に応じた通信手段を自動的に選択します。電話の受け手が社内にいるときにはIP-PBX装置(注3)と連携してユーザーに最も近い内線電話を、外出中には携帯電話を、また、外出中に公衆無線LANサービスを使っているときにはパソコンやPDA上のIP電話ソフトウェアを、コミュニケーションのツールとしてシステムが自動的に選択します。電話をかける側は、内線電話・携帯電話・IP電話といった違いを意識する必要がありません。
インターネット・イントラネットの区別なく、プレゼンス標準プロトコルが利用可能
ファイヤーウォールの内側と外側に専用のサーバ(プレゼンスセキュアゲートウェイ)を設置し、その専用サーバがプレゼンスを監視・中継することで、ファイヤーウォールには特別な設定をせずに、安全に、場所や状況を管理するプレゼンスの標準的なプロトコルが利用できます。 プレゼンスの通信プロトコルには、この分野の標準である「SIP/SIMPLE(注4)」を用いています。
【今後】
電子メールなどより多くの通信手段への対応や、スケジュールシステムと連携した関連情報の収集など、実用化をめざした開発をさらに進め、富士通株式会社のプレゼンスサービス基盤である「FLAIRINC(注5)」の拡張機能として2004年中に製品化する予定です。
図 ユビキタスIP電話システム [クリックすると拡大表示されます]
以上
用語説明
- (注1)株式会社富士通研究所:
- 社長 藤崎道雄、本社 川崎市
- (注2)RFIDタグ:
- Radio Frequency Identificationタグの略。電波や磁気により無線で読み取り可能な識別情報を記録したICチップを内蔵したタグ。なお、本システムでは、アクティブ型とよばれる電池内蔵のタイプを利用している。
- (注3)IP-PBX装置:
- IPネットワーク上でのIP電話機能と従来の回線交換による電話機能の両方を併せ持つ私設構内交換機(PBX: Private Branch eXchange)。当社、IP Pathfinderなど。
- (注4)SIP/SIMPLE:
- インターネットに関連する技術の標準化団体IETFによって規定された、IP電話やプレゼンス交換などに用いられる標準プロトコル。
- (注5)FLAIRINC(フレアリンク):
- ヒト・モノ・サービスの状態など、様々な変化をする状態(プレゼンス)を、それを必要としているヒトやシステムにリアルタイムに通知するサービス基盤。http://glovia.fujitsu.com/jp/products/flairinc/
関連リンク
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