FUJITSU
Worldwide|サイトマップ
THE POSSIBIliTIES ARE INFINITE
Japan
元のページへ戻る本件に関するお問い合わせ先
[ PRESS RELEASE ](技術)
2004-0041
2004年3月4日
株式会社富士通研究所

UML表記のWebアプリケーション上流仕様書を直接実行する技術を開発

株式会社富士通研究所(注1)は、UML(注2)で表記されたWebアプリケーションの上流仕様書を直接実行する技術を開発しました。本技術により、UMLで表記されたWebアプリケーションの画面や動作仕様を、お客様との打合せの場で仮実行しながら確認していただくことが可能となり、仕様の早期確定、プログラム開発後の修正手戻りの削減が実現し、より迅速なシステム開発が可能となります。また、本技術では、プログラム自動生成後のデバッグもUML図面上で行なえるため、仕様と実際のプログラムとの乖離をなくし、保守・運用も容易となります。

今回開発した技術は、当社の総合システム開発体系 「SDAS」(注3)のツールの一つとして展開し、システム開発期間の短縮、ひいては、お客様の戦略的なビジネス展開、競争優位の確保に貢献するものです。本技術の詳細については、Java Technology Conference 2004(2月18日、19日)に参考出展し、ご紹介いたしました。

【開発の背景】

近年、Webアプリケーション開発のサイクルは一段と短くなり、Struts(注4)やEclipse(注5)といった先進的な開発環境の適用や、アプリケーション開発の標準ツールとなりつつあるUMLによる開発効率化が積極的に進められています。これら先進的な技術を活かしながら、より迅速にシステム開発を行い、かつ、保守・運用を容易にしていくことが、次世代のITシステム開発には求められています。特に、UMLによってアプリケーション開発を自動化する技術には、大きな期待が寄せられています。

【課題】

従来、Webアプリケーションの開発は、システム要件やユーザインタフェースなどの上流仕様をお客様と決めた後、改めてシステムレベルの仕様を作成し、プログラム開発を行なうという2段階のプロセスを経ていました。もし、上流仕様書からプログラムを自動生成し直接実行させることができれば、仕様の早期確定など様々なメリットが生まれます。しかし、その実現には、以下のような課題がありました。

  • 上流仕様にはシステムを動作させるための情報が十分に定義されておらず、そのままでは実行させることができない。また動作するプラットフォームごとに生成すべきプログラムが異なる。
  • 仕様図面と生成されたプログラムの関連が取れないため、デバッグ等でプログラムを修正してしまうと仕様図面とプログラムが乖離し、上流の仕様書や図面が陳腐化する。その結果、保守・運用の手間が増大してしまう。

【開発した技術】

今回開発したのは、Webアプリケーションの上流仕様書を直接実行すると同時に、プログラム自動生成後のデバッグもUML図面上で行なえるようにする技術です。今回開発した技術の特長は下記の通りです。

  1. UML上流仕様からのプログラム自動生成技術

    モデル駆動型アーキテクチャ(MDA)(注6)を用いたプログラム自動生成技術を開発しました。Webアプリケーションの上流仕様を、新規に開発したUMLメタモデル(注7)拡張表記で記述することで、複数の異なるプラットフォームやミドルウェア向けに、実行プログラムをUML上流仕様から直接、自動生成することを可能としました。今回開発したメタモデル拡張表記は、直感的でわかりやすく、容易に理解できるものであるため、お客様との打合せの場でも有効活用が可能です。

  2. Webアプリケーション上流仕様書の自動補完技術

    UMLで記述されたWebアプリケーションの上流仕様からプログラムを自動生成する際に、仕様として決まっていない部分があっても、これを自動的に補完する技術を開発しました。上流仕様の検討段階でも、お客様とプログラムを仮実行させながら、仕様検討を進めることが可能になります。

  3. 仕様図面上でのデバッグ技術

    自動生成されたプログラムとUML仕様とを直接関連づけることで、プログラムのデバッグ・修正を、仕様画面上でシームレスに行う技術を開発しました。この技術により、仕様と実際のプログラムとの乖離を大きく減らすことが可能となり、システムの保守・運用が容易になります。

【効果】

今回開発した技術により、UMLで表記されたWebアプリケーションの画面や動作仕様を、お客様との打合せの場で仮実行しながら確認していただくことが可能となり、仕様の早期確定、プログラム開発後の修正手戻りの削減が可能となります。また、プログラム自動生成後のデバッグもUML図面上で行なえるため、保守・運用といったITシステムの資産管理も容易となります。

【今後】

本技術は、富士通株式会社の"リアルタイム"コラボラティブビジネスインテグレーションプラットフォーム「Interstage」にて製品化される予定です。また、富士通株式会社の総合システム開発体系「SDAS」のツールの一つとして展開していきます。

以上

用語説明

(注1)株式会社富士通研究所:
社長 藤崎道雄、本社 川崎市
(注2)UML(Unified Modeling Language):
オブジェクト指向のソフトウェア開発におけるプログラム設計図の統一表記法。1997年に国際標準化団体OMG(Object Management Group)から標準化認定を受け、現在はオブジェクト指向設計における表記法の事実上の標準になっている。
(注3)SDAS:
Systems Development Architecture & Support facilities。1987年に当社が発表した情報システムの全業務を総合的にカバーするアプリケーション開発体系。2003年11月に刷新。これまで当社が培ってきた大規模システムの構築ノウハウに、EAなどの新しいシステム開発手法、国際標準であるUML、XMLなどの新しいツール・技術を統合。システム開発の効率性・オープン性を追及するとともに、その開発手法・ツールを継続的に発展させることで、お客様の経営課題の解決に貢献していくことを目指している。
(注4)Struts:
Apache Jakartaプロジェクトのオープンソースで、JSP Servletの技術を用いてWebアプリケーションを構築するためのフレームワーク。
(注5)Eclipse:
Javaをベースとしたオープンソースの開発環境。
(注6)MDA(Model Driven Architecture):
OMGが提唱するUMLを利用したプラットフォームに依存しないシステム開発手法。
(注7)UMLメタモデル:
UMLそのものの記述を定義したモデル。メタモデル定義自体もUMLで記述されており、拡張することができる。
本技術を用いたシステム開発の流れ本技術を用いたシステム開発の流れ
[クリックすると拡大表示されます]

関連リンク

プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。ご不明な場合は、富士通お客様総合センターにお問い合わせください。

元のページへ戻る ページの先頭へ

All Right Reserved, Copyright (C) FUJITSU