[ PRESS RELEASE ](技術) |
2004-0011
2004年1月16日
株式会社富士通研究所 |
電子ペーパー材料でコピー用紙と同等の表示品質を実現
今回開発した技術は、情報書き換えの容易性といったコンピュータディスプレイの長所と、「読みやすい」「携帯が容易」「形が自由に変えられる」といった紙媒体の長所を併せ持つ、電子ペーパーの実現に向けたものです。
【開発の背景】
情報のデジタル化、インターネットの普及に伴い、ディスプレイを使って情報を見る機会が飛躍的に増えています。しかし、従来のCRTや液晶ディスプレイは、長時間にわたり文字を読むと目が疲れる、自由に持ち運べないなどの欠点があり、読みやすさや携帯性の点から、紙に印刷してから読むということも多くおこなわれています。このことから、オフィスのペーパーレス化を推進して行く上でも、人の目に優しく、持ち運びに便利な新しい表示メディアが求められています。
【課題】
電子ペーパーは、ディスプレイと紙媒体の長所を両立させた理想的な表示メディアを目指したものです。電子ペーパー用の表示材料には、情報書き換えの容易さ、読みやすさ、携帯のしやすさなど、様々な性能が求められますが、紙媒体の代わりに用いるためには、白さとコントラストの向上が特に重要な課題といえます。
【開発した技術】
今回開発したのは、紙媒体と同等の表示品質を可能とする電子ペーパー用の表示材料技術です。イオン導電性の高い高分子固体電解質(注2)をベースに、電圧の印加によって発色と消色が可能なエレクトロクロミック材料(注3)を添加しています。高分子固体電解質を構成する樹脂成分を三次元の網目構造にすることで、下地の白色を形成する顔料を高い濃度で均一に保持することが可能となりました。
【効果】
今回開発した技術により、コピー用紙と同等の白色度80以上の白さと、光を散乱する反射型表示でコントラスト比15以上と、紙媒体と比べて遜色ない表示品質が実現できました。
また、開発した材料は、「電源を切っても表示が消えないメモリ性」「形状が自由に変えられるフレキシブル性」という電子ペーパーに適した性質を持っています。
写真は、今回開発した技術を用いて試作した電子ペーパーのコンセプトモデルです。ディスプレイや紙媒体を補完して用いることによって、オフィスのペーパーレス化の推進に貢献できると考えます。
【今後】
今後、信頼性技術などを確立して2006年頃の実用化を目指します。
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今回開発した材料を用いた電子ペーパーのコンセプトモデル |
以上
用語説明
- (注1)
- 株式会社富士通研究所:社長 藤崎道雄、本社 川崎市
- (注2)
- 高分子固体電解質:固体でありながら、電解質溶液(例えば塩水)のように、イオンが自由に移動可能で電気を通す性質(イオン導電性)を示す物質のこと。
- (注3)
- エレクトロクロミック方式:電圧を印加すると電気化学反応によって発色し、電圧の極性を反転させると消色する表示材料を用いた方式。電源を切っても表示が消えないメモリ性があり、電子ペーパーに用いた場合、省電力での利用が可能となる。
関連リンク
プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。ご不明な場合は、富士通お客様総合センターにお問い合わせください。
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