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世界初! ドライプロセスを利用した多層カーボンナノチューブの直径制御に成功
今回開発した技術は、45ナノメートル世代以降のLSI多層配線の微細化や低抵抗化を目指したものです。 本研究は、NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)より財団法人ファインセラミックスセンターに委託された、経済産業省ナノカーボン応用製品創製技術プロジェクト(NCTプロジェクト)の一環として実施されました。 開発した技術の詳細は、専門誌Chemical Physics Lettersの12月5日号(Chem. Phys. Lett. 382 (2003) 361-366)に掲載されています。 【開発の背景】多層カーボンナノチューブは、直径0.4から数十ナノメートル、長さ1から100マイクロメートルのナノ構造体で、将来のLSI配線に適した物理的な性質を持っています。たとえば、非常に微細化が進んだLSIにおいて高速な回路を実現するためには、高い電流密度で電気を流す必要がありますが、多層カーボンナノチューブは銅よりも1000倍以上の高い電流密度を可能とします。また将来の微細LSIでは発生する熱をどのように逃がすかということが課題となりますが、多層カーボンナノチューブは銅の約10倍の高い熱伝導率を持つため、配線を通じて熱を逃がすことが可能です。 このような多層カーボンナノチューブを実際のLSI配線に応用するためには、ナノチューブの直径を制御し、高密度にLSI基板上に成長させる技術が必要となります。 【課題】位置や方向制御が可能なカーボンナノチューブの生成方法として、化学的気相成長法(CVD法)があります。また、ナノチューブの成長を促す触媒金属を微粒子化し、これを直径制御することで、カーボンナノチューブ自体の直径制御もできると考えられています。 しかし、従来の方法では、触媒金属微粒子のサイズを均一にするために有機溶媒中での化学反応を利用するとともに、生成した微粒子を界面活性剤で保護する必要があり、有機物による汚染(コンタミネーション)など、半導体プロセスへの悪影響が懸念されていました。また、触媒金属からのカーボンナノチューブの成長のしやすさ(活性度)という面からも理想的な方法とはいえませんでした。 【開発した技術】今回新たに、半導体プロセスと整合性の高いドライプロセス(真空装置内での製造工程)による触媒金属の直径制御技術と多層カーボンナノチューブ成長技術を開発しました。開発した技術の特長は、以下のとおりです。
【効果】今回開発した触媒微粒子直径制御技術により、触媒金属としてニッケルを用いた場合、結晶性が高く、7ナノメートル、5ナノメートル、3ナノメートルなど任意のナノサイズのニッケル微粒子を、バラツキ10%(幾何標準偏差1.1から1.2)という良好なサイズ分布で得ることができました。この値は金属微粒子の直径制御としても世界最高の水準となります。また、平均直径5.1ナノメートルのニッケル触媒微粒子に対して、生成した多層カーボンナノチューブの外径の平均は5.0ナノメートルとなり、触媒微粒子サイズによる多層カーボンナノチューブ外径制御を実証することができました。 今回開発した技術は、ニッケル以外の触媒金属にも適用可能であり、従来の有機溶媒と界面活性剤を用いた方法に比べ、触媒金属の選択肢を大きく拡げるもので、多層カーボンナノチューブの研究開発の進展に大きく寄与すると考えられます。 【今後】今後は、触媒微粒子を高密度に堆積することにより、外径の揃ったカーボンナノチューブの高密度成長を実現し、LSIの層間配線(ビア)応用に向けた開発を加速してまいります。 図1 装置概念図 図2 多層カーボンナノチューブ写真 以上 用語説明関連リンク
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