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次世代のゲノム創薬研究に向けたバイオITを強化超並列シミュレーションサーバ「BioServer」の実証実験を開始
2003年4月にヒトゲノムの解読が完了し、現在では、ゲノム情報を活かした創薬研究に加え、個人差を考慮した投薬・予防・根本的治療を可能とするテーラーメイド医療の実現に向けた研究開発が精力的に進められています。DNA上には、数万個の遺伝子が配置され、それらがタンパク質に変換されることで、生体の臓器を形作ったり、各種防御機能として機能したりしています。したがって、解読されたゲノム情報をもとに、各遺伝子から作られるタンパク質の種類、形状、結合状態を知ることは、創薬研究にとって極めて重要です。 研究の現場では、主に実験による解析がおこなわれていますが、高価な試薬や装置が必要とされるため、コンピュータシミュレーションなどによって実験範囲を事前に絞り込むことが、費用削減および時間短縮を図る上で不可欠です。しかしながら、タンパク質は、数万から数百万個の原子から構成される大きな分子であるため、構造や結合の全ての状況を計算するには一般に膨大な時間が必要です。計算時間短縮のため、対象分子の簡略化や部分計算などの工夫が試みられてきましたが、精度劣化が生じ、実用に至っていません。 当社は、上記課題を解決する手段として、今般、超並列シミュレーションサーバ 「BioServer」(コード名)を開発しました。「BioServer」は、超低消費電力・超高速計算・高密度実装を特長とする新しい方式のゲノム創薬研究向けの専用アプリケーションサーバです。同サーバは、一筐体に最大1,920個のCPUを搭載可能であり、個々のCPU上でタンパク質の構造予測や結合予測を行うシミュレーションプログラムを並列に動作させることができます。それぞれ異なった条件で全く独立かつ並行に計算することで、高精度シミュレーションの高速実行が可能となります。 「BioServer」のCPUには富士通製の組み込みプロセッサ「FR-V」シリーズを用いています。「FR-V」は、当社のスーパーコンピュータ技術を用いて開発したVLIW (*4)型のプロセッサであり、汎用PCプロセッサの約1/50の消費電力で動作します。OSは株式会社アックス(*5)製の組み込み用Linuxである「axLinux」を使用しています。 「BioServer」1号機(1,920個のCPU搭載)は、当社IDC(インターネットデータセンター)に設置し、ゾイジーン株式会社との実証実験を開始します。2号機(1,280個のCPU搭載)は、富士通株式会社内で、NEDO(*6)のバイオ・IT融合機器開発プロジェクトの一環である人工抗体の研究開発に利用する予定です。 「ゲノム創薬研究ソリューション」は、当社が20年来培ってきた、バイオ・ケミカルの研究支援ソフトウェア資産と開発技術を集大成した体系であり、遺伝子実験などから得られる大量の数値データをもとに、「ゲノム解析→タンパク質解析→化合物設計」といった一連の創薬研究を幅広くサポートします。 今回開発した「BioServer」は、上記ソリューションの中核システムとして、これまで実現困難であった、一連の研究フローをコンピュータ上で実現し、ゲノム創薬研究の飛躍的な効率向上をもたらすものと期待されています。 当社は、ITを駆使することで、人々が明るく健康に生活できるよう未来を先取りした予防医療などのサービスの実現に貢献し、新しいライフサイエンス社会の創造を支えてまいります。 【ゾイジーン株式会社 三津家正之 取締役のコメント】「これまで一台のパソコンで長時間かけておこなってきた計算が一挙に2,000倍に拡大されることで、従来の創薬研究のボトルネックであった化合物最適化の研究効率が飛躍的に向上する」 【ゾイジーン株式会社の研究用バイオITシステム】
【商標について】
以上 用語説明
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