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[ PRESS RELEASE ](技術)
2003-0183
2003年10月1日
富士通株式会社
株式会社富士通研究所

40nmトランジスタのゲートを精密加工できるAPC技術を開発

富士通株式会社と株式会社富士通研究所(社長:藤崎道雄、本社:神奈川県川崎市)は、90ナノメートル(以下、nm)ノード(*1)の最先端LSIの量産技術として、CMOSトランジスタのゲート電極を精密に加工できるAPC技術(*2)を開発しました。

これにより、世界最小である40nmのトランジスタゲートを、±1nmの精度で設計値どおりに量産することができます。

本技術の原理とLSIプロセスへの適用結果については、米国サンノゼ市で9月30日から10月2日まで開催される「第12回半導体製造国際シンポジウム(ISSM2003)」で発表します。

【開発の背景】

CMOSロジックLSIに使われているトランジスタのスピードは、トランジスタのゲート長に大きく依存しており、トランジスタのゲート長を短くすると速くなりますが、ゲート長が短すぎるとリーク電流のために消費電力が増大し、歩留まりを低下させてしまいます。このため、LSIの性能と歩留まりを向上させるためには、ゲート長を小さくする技術とともに、製造プロセスの変動による加工誤差を小さく抑えることが非常に重要です。

【課題】

LSIの性能、および歩留まりの向上には、ゲート長を小さくする技術とともに、製造プロセスの変動による加工誤差をナノメートル単位で制御できる技術が必要です。

また、90nmノード以降のLSIでは、ロット単位やウエハー単位だけでなく、チップ内でのゲート長のばらつきも、歩留まりと性能に大きな影響を与えます。そのため、回路パターンのレイアウトに依存せずに、精密加工できる技術も要求されます。

しかし、この2つの条件を同時に満足させることは、従来のオーバーエッチング時間制御(*3)ではできませんでした。

また、デジタル家電用LSIなどの先端ロジック製品の生産では、1つのラインで多品種を流す、混流生産にも対応できなければなりません。そのため、製造プロセスの変更などに、柔軟に対応できることが求められます。

【開発した技術】

今回、40nmのトランジスタゲートを±1nmで精密加工でき、なおかつ、回路パターンのレイアウトに対する依存が非常に少ないゲート加工を実現できるAPC技術を世界に先駆けて開発しました(図1)。

その特長は以下の通りです。

  1. 半導体製造ラインにおいて、フォトリソグラフィ工程でレジスト寸法を測定し、その結果を次のエッチング工程でのレシピ選択に自動的にフィードフォワードするAPCシステムを、工場のCIM(*4)と連携させて構築しました。
  2. エッチング工程において、加工特性を詳細に解析することによって、最適なプラズマパラメータ(*5)を選択するゲート長制御モデルを新たに開発しました。これによって、40nmのトランジスタゲートを±1nmの精度で加工でき、しかも、密集した回路パターンと孤立した回路パターン間の寸法変動を±1nm以下に抑えることができます(図2、3)。
  3. 本システムは、当社独自のデータベース技術と、当社のアプリケーションサーバ「Interstage Application Server(インターステージ アプリケーション サーバ)」(*6)を利用し、オブジェクト指向プログラム(*7)で構築されています。そのため、多品種混流生産においてしばしば発生する製造プロセスの変更などに対して、制御アルゴリズムのアップデートを迅速に、なおかつ容易に行うことが可能です。
図1
拡大拡大

なお、本技術は、現在、富士通あきる野テクノロジセンターの90nm最先端LSIの開発ラインでその効果が確認され、実際に運用されています。

以上

用語説明

(*1)90nmノード:
ITRS(International Technology Roadmap for Semiconductors)におけるプロセステクノロジを定義する値です。当社の90nmノード技術では、テラヘルツ動作が可能な世界最小の40nmゲート長のトランジスタ、配線容量が非常に小さいLow-K層間絶縁膜、そして電気的抵抗が小さいCu多層配線技術が世界に先駆けて採用されています。
(*2)APC(Advanced Process Control)技術:
プロセス結果を次の工程のレシピにフィードフォワードしたり、次のロットの処理レシピにフィードバックしたりすることで、従来よりも格段にプロセス制御性を高めることができます。今回の開発では、ゲートパターンを形成するフォトリソグラフィ工程でのレジスト幅の値を使って、次のエッチング工程のレシピにフィードフォワードし、ゲート幅を精密に加工できるようにしました。
(*3)オーバーエッチング時間制御:
標準のエッチング時間に対して処理時間を少し長くしたり短くしたりすることで、ゲート加工量を制御する方法。
(*4)CIM(Computer Integrated Manufacturing):
工場生産に関するすべての情報を、コンピュータネットワーク、およびデータベースを用いて統括的に制御・管理し、生産活動の最適化を図るシステムです。生産管理のほか、レシピ管理などを、人を介さずに自動で制御するため、APCの実現にはCIMとの連携が不可欠です。
(*5)プラズマパラメータ:
プラズマエッチング装置における装置制御パラメータです。プラズマパラメータの違いにより、加工特性が変わります。
(*6)Interstage Application Server:
「Interstage」は、国内トップレベルの出荷実績(2003年6月末時点、83,000サーバ)を誇る、高い信頼性・拡張性・可用性を持った"リアルタイム"コラボラティブビジネスインテグレーションです。その中の「Interstage Application Server」は、J2EE、Webサービス、CORBA環境などの様々なアプリケーション形態をサポートし、シンプルなWebシステムから、大規模EC、B to Bの企業システムまで対応する高信頼・高性能アプリケーションサーバです。
(*7)オブジェクト指向プログラム:
プログラムをオブジェクトの集合体として表現するプログラミング手法です。個々のオブジェクトはクラス階層により管理されるので、効率的なプログラム開発が可能になります。C++やJAVAがその代表的なプログラミング言語です。

関連リンク

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