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[ PRESS RELEASE ]
2003-0146
2003年7月31日
富士通株式会社
世界最高性能のリナックス PCクラスタシステムを受注

理化学研究所様に導入決定


当社はこの程、理化学研究所様(埼玉県和光市、理事長:小林 俊一様)から総演算性能:12.4TFLOPS(*1)(2,048CPU)を誇る世界最高性能のPCクラスタシステムを受注しました。
本システムは、Linux(リナックス)やGrid(グリッド)などの先端技術を駆使した次世代の大型計算機センターシステムのモデルとして、2004年3月の運用開始を予定しています。

本システムは、バイオインフォマティクスを主な用途としており、近年爆発的にデータ量が増加しているバイオテクノロジー分野において、ゲノム配列の相同性検索(*2)やタンパク質の構造・機能解析で現在稼動している最高性能のシステムと比べ、約7倍の性能が期待されるものです。

PCクラスタシステムは規模を増加することでスケーラブルなパフォーマンスを実現できるため、ここ数年のLinuxの普及、PCやPCサーバの高性能化を背景に国内外を問わずハイパフォーマンスコンピューティング分野で大学や研究機関を中心に導入が活発化しています。現在、世界の高性能計算機上位500システムの内、4分の1をPCクラスタが占めています。

しかし、これまでPCクラスタを利用するには高度な技術が必要であったため、部門単位やプロジェクト単位の利用にとどまるなど用途が限定されていました。

今回理化学研究所様より受注しましたシステムは、Grid技術などを駆使することで、中央研究所、横浜研究所、神戸研究所、播磨研究所などの広域研究拠点から誰にでも使える次世代の大型計算機センターシステムを構築するものです。また、本システムは、文部科学省が推進するITBL計画(*3)の計算ノードとして接続され、ITBL参加各機関の間で計算機資源を共有することが可能となる予定です。今後、本システムをモデルとして、民間での導入も急速に進むと予測されます。

当社は、Grid技術の適用に加え、これまでVPP(*4)システムで培ったコンパイラやジョブ制御機能をPCクラスタ用に移植するとともに、InfiniBand(*5)インターコネクトを高速ノード間通信として採用するなど、運用性に優れた高性能な並列コンピューティング環境を実現してまいります。

【商標について】

記載されている製品名等の固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

*1 TFLOPS(テラフロップス):
1秒間に1兆回の浮動小数点演算ができる演算能力です。
*2 相同性検索:
生物学的な類似性に基づいて、類似度の高い遺伝子配列情報をデータベースから検索することです。未知の遺伝子配列情報の機能や構造を推定するためによく用いられます。
*3 ITBL(Information Technology Based Laboratory)計画:
文部科学省2001年度から開始したIT技術を活用して仮想的な共同研究環境を実現するプロジェクトです。現在、理化学研究所、物質・材料研究機構、防災科学技術研究所、航空宇宙技術研究所、日本原子力研究所、科学技術振興事業団の6機関が参加しています。
*4 VPP:
ベクトル型プロセッサを並列に構成し高速のプロセッサ間通信を可能にしたスーパーコンピュータです。
*5 InfiniBand:
複数のコンピュータ間およびコンピュータと周辺装置との間を最大8Gbpsで高速接続する次世代インターフェイス規格です。当社では、2001年10月に世界で始めてInfiniBand接続のPCクラスタシステムを構築し、動作デモンストレーションを行なっており、SCoreクラスタシステムの特性に合わせたInfiniBandドライバの開発を行なうことで、高性能PCクラスタの実現を可能にいたしました。

以上

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