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「複数レイヤによるGMPLSシグナリング相互接続実験に成功」〜日本発の次世代光通信の世界標準確立に向け前進〜
このたび、日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:和田紀夫)、NEC(本社:東京都港区、社長:金杉明信)、株式会社富士通研究所(本社:川崎市、社長:藤崎道雄)、古河電気工業株式会社(本社:東京都千代田区、社長:古河潤之助)、三菱電機株式会社(本社:東京都千代田区、社長:野間口有)の5社は、複数レイヤ(パケット/TDM(*1)/光波長/光ファイバ)におけるGMPLS(*2)のシグナリング(*3)の相互接続実験に、世界で初めて成功しました。本実験の成功により、アプリケーションの違いやトラヒックの混雑具合に応じて、複数のレイヤの組み合わせによる多数の候補経路の中から、そのトラヒックの要求する信号速度や品質を保ち、かつネットワーク全体を効率的に用いるような最適な経路を設定することが可能となります。 今回の実験結果は、5月22日に鹿児島大学で開催される電子情報通信学会の「フォトニックネットワークをベースとするインターネット技術(PNI)研究会」と「光スイッチング(PS)研究会」共催のワークショップにおいて発表いたします。 ■実験の背景と成果GMPLSは、パケット/TDM/光波長/光ファイバという複数の異なるレイヤとそのパス(信号の通る経路)の統一的な制御管理を可能にする技術です。既存のネットワークでは、制御方法の異なるIPなどのパケットとTDM、光波長といったレイヤごとに、それぞれ独立に構築され、そのネットワークに固有の制御技能を持ったネットワーク運用管理者が、そのネットワーク技術に対応した制御装置を介して運用・管理していました。例えば、従来の電気クロスコネクトや光クロスコネクトでは、ネットワーク運用管理者が制御装置端末を操作し、その指令に基づいて集中制御装置が各クロスコネクト装置を制御し、経路の設定を行っておりました。それに対して、GMPLS対応のクロスコネクト装置では、IPネットワークでのMPLSと同じように装置間の制御パケットによりパスの設定を行うことができるようになるため、IP技術を習得したネットワーク運用管理者がIPと同様な技術でクロスコネクトを運用することが可能となります。しかしながら、現状のGMPLS対応の装置は、運用管理手法を統一しただけで、IPとTDMや光波長のそれぞれのレイヤネットワークは、これまでと同様、それぞれ別個に扱うことしかできず、一方の経路がTDMを使ったパスで他方が光波長を使ったパスであるというような、すべてのネットワークのレイヤを統一的に扱うことができませんでした。 今回、これらの課題を解決するため、新たに複数レイヤのパス設定・解除が可能な制御ソフトウェアを各社で開発・実装しました。さらに、実装した制御装置を相互に接続して、レイヤの異なるパスを設定するマルチレイヤシグナリングの動作について検証実験に世界で初めて成功しました。各社の制御装置間でやり取りするシグナリングプロトコルとして、GMPLS用に拡張したRSVP-TE(*4)を用いています。 実験の構成を図に示します。本実験では、ルータ、電気クロスコネクト、光クロスコネクト、光ファイバスイッチなどのさまざまな装置が混在しているネットワークを想定しています。制御装置1と2には、パケットのパスとTDMのパスの両方の制御機能をもっています。制御装置1は、パケットのパスであるルートAのパスと、TDMのルートBのパスを自由に選択することができます。ルートA上の途中にある制御装置2は、パケットと光波長のパス制御機能の両方を持っています。制御装置2〜6は光波長を扱う光クロスコネクトの制御装置であり、パケットのパスを通すために光波長のパスを新たに設定します。この光波長パスを用いて、パケットのパスを装置1から7まで設定します。このように異なるレイヤを扱う各制御装置間で制御信号をやりとりすることで、パスの設定・解除を行うことができるようになります。この実験の成功により、複数のマルチレイヤの経路の中から最適な経路を選択することができることが実現されました。この機能により、アプリケーションの違いやトラヒックの混雑具合と連動して最適経路を探すことが可能となります。 GMPLS技術が実用化すると、これまで別々に構築し、管理方法もまちまちであったIPや光波長のネットワークの管理が統合することができ、運用費用の削減ができます。また、さまざまな光波長パスをユーザの要求に応じて接続先を変更する光波長専用線のような新サービスの提供が可能になります。このためGMPLSは、次世代の大容量IPネットワークの基盤技術として注目を集めており、IETF(Internet Engineering Task Force)、OIF(Optical Internetworking Forum)、 ITU(International Telecomunication Union)等の国際標準化団体においても活発な議論が進められています。 ■今後の予定本検証実験は、次世代フォトニックネットワーク(*5)の分野で、日本発の世界標準化を推進するために創設したフォトニックインターネットラボ(略称:PIL)(*6)で実施されました。PILは、上記5社と沖電気工業株式会社、株式会社日立製作所を加えた7社により、2002年9月より活動を開始しています。PILでは、標準化の提案をすると同時に、各社の開発したプロトコルソフトウェアの技術的な検証を行っており、本実験もその一環として実施されたものです。PILでは、今後、海外企業との接続検証も含めて検討していきます。 【用語解説】
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