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SAWフィルタ内の弾性波分布を可視化する観測技術を開発株式会社富士通研究所(社長:藤崎道雄、本社:川崎市)は、携帯電話での雑音除去などに用いられるSAWフィルタ(表面弾性波フィルタ)の動作を解析するための弾性波観測技術を開発いたしました。 今回開発した技術を用いると、より低損失で高性能なSAWフィルタの設計が可能になると期待されます。 なお、本技術の詳細は、11月7日から大阪で開催されるLSIテスティングシンポジウムにおいて発表いたします。 【開発の背景】近年、携帯電話を始めとするモバイル通信の普及とともに、使われている高周波電子部品の高性能化、低損失化への要請が高まっています。中でも、SAWフィルタは雑音を除去してクリアな音声を実現する、電話機に必須の部品であり、その性能を向上させるためにさまざまな研究が進められています。 SAWフィルタとは、圧電性結晶の表面を伝搬する弾性波を介して、ある特定の周波数の信号のみを通すことを利用したフィルタで、その性能向上のためには、弾性波の挙動を知ることが重要です。これまでは、この弾性波の挙動を計測するため、結晶表面のわずかな動きを検出できる走査型マイケルソン干渉計を用いていました。しかし、この方法では弾性波の副次的な成分しか観測できず、フィルタの特性に直接影響する弾性波(SH(Shear Horizontal)波 *1)を推測するしかないという問題がありました。 そこで、弾性波の主な成分であるSH波の動きを観測できる技術の開発が望まれていました。 【開発した技術】今回開発したのは、SAWフィルタにレーザ光を照射し、結晶を通過したレーザ光を検光子で観測し、観測したレーザ光の変化からSH波の強度を見積もる技術です。(図1) 実験の結果、フィルタに入る信号の周波数が変るにつれてフィルタ素子内部の弾性波分布が変化する様子を明瞭に観測することができました。また、損失の原因となる弾性波の漏れの発生を検出できました。(図2,3) 開発した技術の特長は、以下の通りです。
この技術によって、弾性波の動きを正確に知ることができるため、SAWフィルタのより詳細な設計が可能となり、フィルタの性能向上が期待できます。 今後は、観測性能を上げ、2003年度を目処に実用化する予定です。 【用語解説または注釈】
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