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磁気ディスク装置内部の空気の流れを解析し、高性能化に貢献動画 Real Player 株式会社富士通研究所(社長:藤崎道雄、本社:川崎市)は、富士通株式会社と協力して、磁気ディスク装置のさらなる高性能化を図るため、磁気ディスクの回転で発生する空気流を解析するための技術を開発し、この技術をWeb経由で簡単に利用するための解析環境を構築いたしました。 今回開発した技術を用いて、アクチュエータアーム(*1)の重量を軽減するために開けた孔の空気流に対する影響を解析し、アーム振動のメカニズムを、流体力学的立場から世界で初めて詳細に解明することに成功しました(図1)。 また、従来ワークステーションで2ヶ月以上要していた解析が5日程度で可能となり、空気流が原因となって発生するアクチュエータアーム振動やディスク自身の振動を低減する機構設計が簡単に実現でき、磁気ディスク装置の高性能化が可能になると期待されます。 なお、本技術の詳細は、8月26日からシンガポールで開催されるAPMRC2002(Asia Pacific Magnetic Recording Conference 2002) にて発表する予定です。 【開発の背景】近年の磁気ディスク装置は大容量化、高速書き込み、読み出しのための高回転化(10,000回転毎分以上)が著しく進んでおります。磁気ディスクが高速回転すると、装置内部で空気流が発生し、ヘッドの位置決め精度に大きな影響を与えるようになります。そこで、空気流がアクチュエータアーム振動やディスク振動をどのように引き起こしているかを解明し、装置の性能改善に役立てたいという要求が高まっています。 これまで空気流の影響を低減するための機構構造の改良検討は、主に実機を用いた実験によって行われていました。しかし、部品形状と振動低減効果の因果関係や振動の発生メカニズムを解明するには至りませんでした。 そこで、市販の汎用流体解析ソフトを使って、空気流の解析を試みていました。しかし、これらの流体解析ソフトは膨大な計算時間を必要とするため、機構設計工程で利用するには、実用的な時間内に解が求まらないという問題がありました。そのため、計算時間を短縮し、設計工程の中で使える流体解析技術の開発が望まれていました。 【開発した技術】設計工程の中で使えることを目標に、磁気ディスク装置内部の空気流を解析するための専用ソフト(DDFlow: Disc Drive Flow)を新たに開発するとともに、実験による検証をもとに、空気流の非定常現象を、実用的な計算時間でかつ精度良く解析できる技術を開発しました。開発した専用ソフトは並列計算に適しており、汎用流体解析ソフトに比べて10倍程度高速に流体解析を実行することが可能です。 また、設計工数の効率化のため、設計者がWebブラウザ経由で計算指示や、計算経過のモニタなどができる非定常流体解析環境を構築しました。 計算時間を短縮するために用いた技術は、以下の通りです。 この流体解析技術の適用により、重量軽減用孔付きアームの振動は,アーム下流側に生じる3次元的なスパイラル流が原因であることを突き止めることができました。このように、この解析技術の利用によって、磁気ディスク装置内部の空気の流れを考慮した機構設計が行えるようになり、空気流に起因する振動を低減した位置決め精度の良い、高記録密度の磁気ディスク装置の開発が期待できます。 今後、富士通では、この解析技術を、まず次世代のサーバ向け磁気ディスク装置の設計開発に適用を図り、順次モバイルPC向け磁気ディスク装置へも適用拡大していく予定です。
【用語解説または注釈】以 上 プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。ご不明な場合は、富士通お客様総合センターにお問い合わせください。 |
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