[ PRESS RELEASE ] |
2002-0200
平成14年8月22日
富士通株式会社 |
No.160 |
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世界最高性能の大規模並列スカラ型スーパーコンピュータ 「PRIMEPOWER HPC2500」販売開始
当社はこのほど、世界最高の理論ピーク性能(85.1テラフロップス*1)と、拡張性(最大128プロセッサ×128ノード(*2)=16,384プロセッサ)をもつ、大規模並列スカラ型スーパーコンピュータ「PRIMEPOWER HPC2500(プライムパワー HPC2500)」を開発し、平成14年8月22日より販売を開始いたします。
本製品は、UNIXサーバ「PRIMEPOWER」の最上位モデルであり、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)に向けたスーパーコンピュータです。
「PRIMEPOWER HPC2500」は、大規模並列のスカラ方式を採用し、動作周波数1.3GHzの「SPARC64TM V(スパーク64 ファイブ)」プロセッサを搭載することで、世界最高の理論ピーク性能を実現しました。
この卓越した処理性能により、現在、産業界でスーパーコンピュータの利用が最も進んでいる自動車業界の衝突解析計算(*3)では、ベクトル型スーパーコンピュータ「VPP5000シリーズ」で約8.2時間を要していた計算時間が、「PRIMEPOWER HPC2500」では7分の1の約1.1時間に短縮できます。さらに、これからの利用分野として注目を集めているポストゲノム創薬向け蛋白質フォールディング計算(*4)では、約1年要していた計算時間が8分の1の約1.5ケ月に短縮できます。
本製品は、当社がこれまで、ベクトル型スーパーコンピュータの開発で培ってきた『最先端のプロセッサ製造技術』、『計算命令を並列処理する技術』、『高速インターコネクト技術』等と、UNIXサーバ「PRIMEPOWER」の開発で培ってきた『共有メモリ技術』、『メモリアクセスの制御技術』を融合して開発しています。これにより、理論ピーク性能は、128プロセッサの1ノードが665.6ギガフロップス(*5)、128のノード間を「高速光インターコネクト」で接続したクラスタ構成(16,384プロセッサ)では85.1テラフロップスと、いずれも世界最高です。また、この性能は、当社ベクトル型スーパーコンピュータ「VPP5000シリーズ」と比較し、1ノードあたり約70倍、システム最大構成(16,384プロセッサ)では約17倍です。
当社のベクトル型スーパーコンピュータ「VPPシリーズ」をご使用のお客様が、「PRIMEPOWER HPC2500」へ容易に移行するための「VPP Fortran(VPPフォートラン)」仕様を包含する並列コンパイラ「XPFortran(XPフォートラン)」や、最新の国際規格に準拠し、キャッシュメモリの最適化機能などにより「SPARC64TM V」の性能を最大限に引き出すとともに、既存のプログラムをリコンパイルするだけで容易に高速実行を可能とする「Fortran」「C/C++コンパイラ」等を提供します。また、チューニングサービスや移行支援サービスを提供することで、お客様のシステム移行を支援します。
オペレーティングシステムには、SolarisTM オペレーティング環境を採用することで、豊富な流通アプリケーションを利用できます。
スーパーコンピュータは、ポストゲノムとしての創薬やナノテクノロジーによる材料開発を始め、航空・宇宙、気象・環境等の大規模の科学技術計算や、自動車、重工、電機といった産業界における商品開発等における設計・シミュレーション等、さまざまな分野に活用されており、当社製品はこうした分野でリーディングエッジの役割を担ってきました。
今後も当社は、スーパーコンピュータを研究開発や技術開発を牽引する役割を持ったIT技術と位置づけ、「PRIMEPOWER HPC2500」によって、最先端の研究開発を支え、科学技術の飛躍・向上、各産業の競争力強化にこれまで以上に貢献してまいります。
【出荷時期】
- 平成15年1月末より
【販売目標】
- 今後2年間に全世界で100台
【価格】
- 「PRIMEPOWER HPC2500」:1億6,718万円より (8CPU,2GBメモリ,18GBディスク)
【仕様】
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CPU | プロセッサ | SPARC64 V |
周波数/理論ピーク性能 | 1.3GHz / 5.2GFLOPS |
ノード | プロセッサ数 | 8〜128CPU |
主記憶容量 | 最大512GB / ノード |
システム | 高速光インターコネクト | ノードあたり最大16GB/s×2(In/Out) |
システム最大構成 (CPU数/理論ピーク性能) | 128ノード (16,384CPU / 85.1TFLOPS) |
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【ソフトウェアベンダー様からのコメント】(五十音順)
□MSC.Software Corporation様
MSC.Nastranは有限要素法による解析ソリューションの世界標準です。新しい並列処理能力を持つ「MSC.Nastran2001」と「PRIMEPOWER HPC2500」により、大規模問題を解く際の計算リソースと解析時間に関する負担を減らし、ユーザに多大な利益を約束します。
MSC.Software Corporation
Director of Development Infrastructure Kevin Kilroy |
□株式会社シーディー・アダプコ・ジャパン様
より短時間でより高品質の製品を開発するのに、設計開発の過程においてCAEを含むデジタルエンジニアリング技術を駆使して、設計開発プロセスに変革をもたらすことが必要です。そこでCAEに求められるのは、可能な限り、短い時間で、多くのケーススタディーを実施し、信頼性の高い解析結果を出すことです。今回の富士通株式会社様の発売される最新型のスーパーコンピュータ「PRIMEPOWER HPC2500」がその可能性を約束してくれます。
株式会社シーディー・アダプコ・ジャパン
代表取締役社長 徐 錦冑 |
□日本イーエスアイ株式会社様
PAM-CRASHを始めとする当社製品をご利用されているお客様の解析規模は年々増大し、常により速い計算機が望まれております。「VP/VPPシリーズ」等のスーパーコンピュータの分野で実績のある富士通株式会社様の最新機「PRIMEPOWER HPC2500」はこのような顧客ニーズを十分満たしてくれるものと大いに期待致します。
□Livermore Software Technology Corporation様
「LS-DYNAは構造解析の問題に対して、高い精度と高速性を備えたソリューションとして世界的に知られています。高度な先進的マルチフィジクスコードであるLS-DYNAは、生体人工心臓弁の動作から、自動車の衝突や地震にいたるまでの広範囲な解析を行うことができます。このような現在でもっとも挑戦的な大規模技術解析には、富士通株式会社様の「PRIMEPOWER HPC2500」が適しています。私は、LS-DYNAがこの新機種ですばらしい性能を出せると期待しています。
Livermore Software Technology Corporation
President John Hallquist |
【用語解説】
- *1テラフロップス(TFLOPS):
- 1秒間に1兆回の浮動小数点演算ができる演算能力です。
- *2ノード:
- 1つのメモリ空間を共有する計算機の単位です。
- *3自動車業界の衝突解析計算
- 「VPP5000シリーズ」と、「PRIMEPOWER HPC2500」の最大構成での比較です。128解析ケースの128ジョブを同時走行する場合の比較で、計算モデルは、要素数28万、物理時間160msecの場合です。
- *4ポストゲノム創薬向け蛋白質フォールディング計算
- 「VPP5000シリーズ」と、「PRIMEPOWER HPC2500」の最大構成での比較です。計算モデルは、分子動力学法を用い、原子数1〜2万、計算ステップ数が10の十乗の場合です。
- *5ギガフロップス(GFLOPS):
- 1秒間に10億回の浮動小数点演算ができる演算能力です。
【商標について】
- すべてのSPARC商標は、米国SPARC International,Inc.のライセンスを受けて使用している同社の米国およびその他の国における商標または登録商標です。
- UNIXは、The Open Groupの米国ならびにその他の国における登録商標です。
- SPARC64は、米国SPARC International,Inc.のライセンスを受けて使用している同社の商標です。
- Sun、Sun Microsystems、Sunロゴ、Solaris およびすべてのSolarisに関連する商標およびロゴは、米国およびその他の国における米国Sun Microsystems, Inc.の商標または 登録商標であり、同社のライセンスを受けて使用しています。
- 製品名等の固有名詞は、各社の登録商標または商標です。
以 上
プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。ご不明な場合は、富士通お客様総合センターにお問い合わせください。
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