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[ PRESS RELEASE ] |
2002-0112
平成14年5月15日
株式会社富士通研究所 |
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300ギガビット/平方インチの
磁気ディスク読み取りヘッド技術を開発
株式会社富士通研究所(社長:藤崎 道雄、本社:川崎市)は、300ギガビット/平方インチ以上の記録密度をもつハードディスク装置(HDD)のデータ読み取りが可能な巨大磁気抵抗効果(GMR:Giant Magneto-Resistive)ヘッド技術を世界に先駆けて開発いたしました。
この技術を用いると、2.5型ハードディスク装置1台当たり160-360ギガバイト(GB)の大容量化が可能です。この技術を用いたヘッドを2〜4年後に実用化する予定です。
今回開発した技術の詳細は、4月28日からオランダ・アムステルダムで開催された「InterMag Europe 2002国際会議」にて発表いたしました。
- 【開発の背景】
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現在、ハードディスクに用いられているGMRヘッドは、GMR素子部分の膜面に平行に電流を流すCIP(Current in Plane)型で、記録密度の向上とともに素子サイズが減少し、再生出力が低下してしまいます。そのため、約100ギガビット/平方インチ程度の記録密度が限界とされていました。
そこで、素子の膜面に垂直に電流を流すCPP(Current Perpendicular to Plane)型ヘッドの開発が盛んに行われています。
CPP型ヘッドとしては、トンネル磁気抵抗効果(TMR:Tunnel Magneto-Resistive)ヘッドとGMRヘッドがあります。TMRヘッドは、高出力ですが、抵抗を下げることが難しく、素子の微細化、高速動作に限界があります。一方、これまでのCPP-GMRヘッドでは、フリー層、ピン層、非磁性中間層および反強磁性層を基本とする4層構造全てが金属層であるため、面に垂直方向に電流を流した場合、抵抗が小さいので、微細化、高速動作には適していますが、逆に素子抵抗変化が小さいため、ヘッドの再生出力が小さいという欠点がありました。
- 【開発した内容】
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今回開発したのは、GMR素子の膜内にナノメートルオーダーの非常に薄い磁性酸化膜(Partially Oxidized Magnetic Layer)を形成することにより、GMR素子内の電流の流れを制御し、抵抗変化を実用レベルに高めた新しいCPP-GMRヘッドです。開発したヘッドは、従来のCPPのGMR素子に比べ、素子の磁気抵抗変化率を5.0%と従来の8倍以上に高め、さらに素子抵抗変化を60倍程度まで高めることに成功しました。このため、150-300ギガビット/平方インチ程度のサイズのヘッドに搭載した場合にも十分大きな再生出力を得ることが可能となりました。
また、開発したCPP-GMR素子は、TMR素子に比べ、素子抵抗が10分の1程度小さいことから、素子サイズが小さくなってもヘッド抵抗の上昇を抑制することができ、高速のデータ転送速度を可能にします。
開発したCPP-GMR素子と従来型のCPP-GMR素子の特性比較を次の表に示します。
| 開発したCPP-GMR素子 | 従来型CPP-GMR素子 |
素子抵抗RA(Ωμm2) | 0.61 | 0.084 |
素子抵抗変化ΔRA(mΩμm2) | 30.3 | 0.51 |
磁気抵抗変化率(%) | 5.0 | 0.61 |
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今後 本技術開発を150-300ギガビット/平方インチの記録密度の読み取りヘッドに搭載するべく、開発を推進してまいります。
図1 CIPヘッドとCPPヘッドの概略図
以 上
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