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[ PRESS RELEASE ] 2002-0076
平成14年4月1日
株式会社富士通研究所
ブロードバンド・インターネットを支える富士通No.125

0.9 Vで動作する世界最高性能の
40ギガビット/秒光ファイバ通信用変調器を開発


株式会社富士通研究所(社長 : 藤崎道雄、本社 : 川崎市)は、0.9 Vという超低電圧動作が可能な世界最高性能の40 ギガビット/秒用ニオブ酸リチウム光変調器(*1) (LiNbO3光変調器またはLN光変調器)の開発に成功いたしました。今回開発した技術により、40 ギガビット/秒用光送信器の大幅な小型化、低コスト化が可能となり、2002年中の製品化をめざします。
なお、本技術の詳細は、3月17日から22日に米国アナハイムで開催されたOFC2002(光通信国際会議 : Optical Fiber Communication )のポストデッドライン論文として発表いたしました。

【開発の背景】

近年、「e-Japan 構想」の進展とともに100メガビット/秒クラスの超高速インターネット環境が全国で本格的に整備されつつあります。しかし、これらのネットワークを流れるデータが集まる幹線部分では、10テラビット級の伝送容量を持つ波長多重(WDM : Wavelength Division Multiplexing)光通信システム(*2)が必要となります。
このシステムを実現するためには、1波あたりの伝送速度を現在の10ギガ/秒から40ギガ/秒以上に上昇させる必要があり、この速度以上で動作する光送受信器の開発が世界中で活発に行われています。
40 ギガビット/秒のシステムの実用化には、光送受信器の小型化、低コスト化が不可欠です。しかし、電気信号を光信号に変換するLN光変調器の駆動電圧が3〜5Vと高いため、光変調器専用の駆動回路を用いる必要があり、小型化、低コスト化を妨げる要因のひとつとなっていました。

【開発した技術】

今回、信号電極を最適化するための精密シミュレーション技術と2つの信号電極の相補(プッシュ・プル)駆動方式を採用し、駆動電圧0.9 Vを実現する方式を開発しました。
その特長は以下の通りです。

  1. 精密シミュレーション技術の開発
    LN変調器を構成するマッハ・ツェンダ干渉計(*3)とその上部に形成された信号電極の最適化を行うための精密シミュレーション技術を開発し、これに基づいた設計を行いました。LN光変調器の構造を図1に示します。

  2. 相補駆動方式で世界最高の低電圧駆動を実現
    2つの信号電極の相補(プッシュ・プル)駆動方式を採用し、40ギガビット/秒動作時の駆動電圧 0.9 Vという世界最高性能の駆動電圧性能を実現しました。これは従来のLN光変調器の1/2〜1/3以下の駆動電圧に相当します。図2に今回開発したLN光変調器の光出力波形を示します。

  3. 既存製品との製造プロセスの高い整合性
    すでに富士通から製品化されているLN光変調器と同一の製造プロセスが適用可能なため、高い信頼性が期待できます。
今回の技術開発により、低コスト化が可能なSiGeなどのシリコンプロセス技術を適用したロジック回路からLN光変調器の直接駆動が行えるため、光送信器ICの1チップ化が可能となります。このため、40ギガビット/秒用光送信器の小型・低コスト化のめどがつき、40ギガビット/秒の高速光通信システムの実用化に近づきました。

また、今回のLN光変調器の技術と当社ですでに開発されている90ギガビット/秒マルチプレクサICを実現した超高速化合物半導体技術による駆動回路を用いれば、さらに超高速の80ギガビット/秒を超える光通信システムも実現可能となります。

【用語解説または注釈】

*1 : ニオブ酸リチウム光変調器(LN光変調器)
電気光学効果を持つ、ニオブ酸リチウム(LN: LiNbO3)の結晶を用いた光変調器のことで、電気信号を光の強度信号に変換する光部品です。LN光変調器は、光信号を生成する際に付随的に発生する波長変動成分が非常に小さく、長距離伝送に適しています。このため、幹線系陸上光通信システムや海底光通信システム用の光変調器として、大量に利用されています。
*2 : 波長多重(WDM: Wavelength Division Multiplexing)光通信システム
1本の光ファイバに波長の異なる複数の光を束ねて伝送する技術であり、富士通では、10ギガビット/秒の信号を176波多重した1.76テラビットの波長多重伝送システムを製品化しています。
*3 : マッハ・ツェンダ干渉計
入力光を2分岐し、再度合流させる構成の光干渉計です。LN光変調器では、分岐後の2本の光の経路の屈折率を入力電気信号の"1"、"0"に対応して変化させることで、出力される光強度の"明"、"暗"の変化に変換します。

図1図2
LN 光変調器の構造LN 光変調器の出力波形(40ギガビット/秒)
LN 光変調器の構造LN 光変調器の出力波形(40ギガビット/秒)

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以 上

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