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[ PRESS RELEASE ] 2001-0231
平成13年11月7日
富士通株式会社
株式会社富士通研究所

高密度,高多層,低コストプリント基板を開発

MV-3断面写真


富士通株式会社と株式会社富士通研究所(社長:藤崎道雄、本社:川崎市)は、共同で、UNIXサーバや、通信基地局用装置などで必要な超多ピン配線を可能とする高多層プリント基板、MV-3(MV: Multi Via)を開発いたしました。
この技術は20層以上の高多層プリント基板だけではなく、ノートパソコンや携帯電話、デジタルビデオカメラなど、最近特に高密度実装が要求されるプリント基板などにも幅広く適用が可能です。
MV-3は2001年11月からサンプル出荷を開始する予定で、その後FCV(FUJITSU COMPUTER PRODUCTS VIETNAM)を含めた国内外の工場で製造環境を整え、2002年1月から量産を開始する予定です。

[開発の背景]

コンピューターや通信ネットワークの高性能化、高機能化にともない、UNIXサーバや、通信基地局用の高多層プリント基板ではCSP(Chip Size Package)やBGA(Ball Grid Allay)など、パッケージの高密度実装が要求されています。たとえば、CMOS LSIでは、現状の約1700ピンに対して、2002年には2500ピンが要求されています。
これら、パッケージの高密度実装には、通常、ビルドアップ工法(*1)が用いられますが、さらに超多ピンのパッケージを高密度で実装するためには、配線の引き出し効率を上げる必要があります。
また、プリント基板を多層化する場合には貼り合わせ工法(*2)が用いられており、各層にある配線を接続するために機械ドリルによる貫通ビアを形成していました。しかし、層間接続が不要な層にまで貫通ビアが形成されてしまうため、配線の障害物となっていました。このため、貫通ビアをできる限り減らし、回路設計の自由度を高めたプリント基板構造が求められています。

[今回開発した技術]

今回開発したのは、配線の引き出し効率を上げるためのビルドアップ工法とスタック構造の埋め込みビア(*3)を併用する高密度実装が可能な高多層プリント基板の製造技術です。
ビルドアップ工法とは、コアとなる従来の貼り合わせ工法によるプリント基板上に絶縁層と配線層を交互に形成することで微細な配線を実現したものです。配線層全てをビルドアップ工法で形成することで、貫通ビアを低減でき、貼り合わせ工法に比べて回路設計の自由度を拡大することができます。複数のプリント基板を接着するために、レーザーによるビア加工が可能なガラス布入りのプリプレグ(*4)をプリント基板として採用し、ビルドアップ層の強度と、熱膨張率への対応を図りました。また、積層前にプリント基板の品質検査が可能なため、大幅に歩留まりが向上します。
埋め込みビアとは、層間接続用に加工されたビアホールを導体金属で埋め、平坦なビア表面を形成したものです。この埋め込みビアを各配線層に積み重ねて垂直に配置し、スタック構造とすることで、素子と配線を最短の距離で接続します。この方法によって、0.5mmピッチのCSPを実装するために必要な0.25mm径の表面パッドから配線を引き出すことが可能となりました。

開発したMV-3の特徴は以下の通りです。

(1) 実装/配線密度が向上
埋め込みビアをスタック構造で配置することにより、プリント基板表面でフラットなビアを実現。素子をビアに直接搭載できるため、実装密度が向上します。さらに、垂直に配線と接続することでチャネルを効率的に使用でき、配線密度が向上します。これにより、2500ピンBGAの超多ピン配線を実現しました。

(2) 製造コストを削減
埋め込みビアのスタック構造により、引き出し配線層数を約2/3に低減できるので、プリント基板製造コストを大幅に削減できます。

(3) 回路設計の自由度を拡大
ビルドアップ工法の適用により貫通ビア数を低減できるので、回路設計の自由度を拡大できます。

(4) プリント基板の強度を増大
ビルドアップ部の絶縁層に、ガラス布材入りプリプレグが使用可能で、ビルドアップ特有の機械的特性の低下を防止でき、プリント基板の強度が増大します。
【用語説明】
*1 ビルドアップ工法
ビルドアップ工法は、コアとなる従来の貼り合わせ工法によるプリント基板上に絶縁層と配線層を交互に形成することで微細な配線を実現したもので、ノートPC、携帯電話、デジタルビデオカメラなどで採用され、製品の小型化、軽量化に貢献しています。
*2 貼り合わせ工法
配線パターンをあらかじめ形成した素材を一括積層で一体化し、機械ドリルによる貫通穴加工で層間の接続をとるプリント基板製造方法です。
*3 スタック構造の埋め込みビア
層間接続用に加工されたビアホールをめっきなどの手法によって導体金属で埋め、平坦なビア表面を形成したものを埋め込みビアと言います。これらのビアの直上にビアを形成し、最短距離で複数のビアを接合する技術をスタック構造といい、高密度実装には欠かせない技術です。埋め込みビアを用いると、スタック構造で、ビア上の実装が可能となることから、高密度実装には欠かせない技術となっています。
*4 プリプレグ
プリント基板の製造に用いる半硬化状態の絶縁樹脂シートで、貼り合わせ工法によるプリント基板形成時の接着層として機能します。強度、寸法精度の必要性から、ガラス布にエポキシ樹脂を含浸させたものが一般に用いられます。

以 上

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