富士通が、モバイルマルチメディア機器向けに 英ARM社のマイクロプロセッサ・コアのライセンスを取得
このたび、32 ビット組込みRISC マイクロプロセッサ・ソリューションのリーディング・プロバイダである英ARM 社(本社:英国ケンブリッジ市、日本法人:横浜市港北区、代表取締役社長:石川滝雄)と富士通株式会社(以下、富士通)は、富士通が、ARM社のARM926EJ-S(TM)コアとARM946E-S(TM)コアのライセンスを取得したと発表しました。
これにより、富士通は、デジタルカメラやPDA、次世代携帯電話などのモバイルマルチメディア機器向けに、ARM926EJ-SコアとARM946E-Sコアを搭載したLSI製品を提供してまいります。
今回、富士通が取得したARM926EJ-SおよびARM946E-Sのライセンスは、富士通が既に取得しているARM7TDMI(TM) (*1)のライセンスをさらに拡充するためのものです。ARM926EJ-Sは、Javaコードの高速処理を可能にするJazelle(TM) (*2)技術を搭載しており、携帯電話などのプラットフォーム上でJava(TM)の高速実行を可能にします。また、Symbian (*3)OS、μITRON、Windows CE、Linux、Palm OS などの様々なOSに対応しております。ARM946E-Sコアは、ハードディスクやMOなどの組込み制御機器向けに最適です。ARM926EJ-SコアおよびARM946E-Sコアは、ARMのアーキテクチャv5TEの特徴である拡張されたDSP命令を装備しています。
ARM9EJ-S(TM) (*4)をベースにしたARM926EJ-SとARM9E-S(TM) (*5)をベースにしたARM946E-Sのマクロセルは、共に論理合成可能な高性能32ビットRISCプロセッサです。これらのマクロセルは、他のプロセス・テクノロジに容易に移行可能です。また、柔軟な構成の命令およびデータキャッシュを備えています。インターフェースとして、密結合メモリインターフェース (*6)、Embedded Trace Macrocell(TM) (*7)インターフェース、AMBA AHB (*8)インターフェースを搭載しております。
富士通は、ARM926EJ-Sコアを搭載した製品については2002 年第二四半期より、ARM946E-Sコアを搭載した製品については2002年第三四半期より提供開始を予定しております。
【富士通 取締役 電子デバイス事業本部 副本部長 小野 敏彦のコメント】
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近年、モバイル、ネットワーク、マルチメディア機器の普及に伴い、低消費電力で高性能なARM9(TM)コア・ファミリを採用した多くのSoC (System-on-Chip) への要求が高まっております。
富士通は、今回のARM926EJ-SおよびARM946E-Sコアライセンス取得により、携帯電話、PDA、ストレージ、プリンタ、デジタルカメラなどの幅広いマーケット要求に対応していきます。富士通の優れた開発環境、実装技術、プロセス・テクノロジにより、全てのお客様に、短期間で最適なソリューションを提供できるものと確信しています。
【ARM セグメントマーケティング担当 副社長スティーブ・エバンスのコメント】
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今日、Javaテクノロジは、携帯機器分野において最も重要なテクノロジとなりました。ARM のJazelle テクノロジにより、富士通は、電池の寿命を短くすることなく、Javaを高性能に実行するシリコンソリューションを顧客に提供します。共通点の多いARM926EJ-SとARM946E-Sコアを採用することで、最先端のSoCソリューションを顧客に提供する一方で、多くのデザインを再利用することができ、開発時間とコストを大幅に削減することができます。
【用語説明】
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- *1
- ARM7TDMI(TM)は、価格と消費電力が重視される民生用アプリケーション向けに最適化された低消費電力32ビットRISCマイクロプロセッサ・コアです。Thumb(サム)技術により、8/16ビットのシステム・コストで32ビットの性能を実現します。
- *2
- Jazelle(TM)技術は、Java対応機器市場で、高性能、低システム・コスト、低消費電力という優れた組み合わせを提供します。Javaバイト・コードをハードウエア内で直接実行し、ARMアーキテクチャ上で卓越したJava性能を発揮できます。
- *3
- Symbian社は、音声通話、ワイヤレス・インターネット・アクセス、演算処理の全ての機能を兼ね備えた携帯電話を実現するオペレーティング・システムを世界中の大手携帯電話メーカに供給しています。詳しくはSymbian社のWebサイト(http://www.symbian.com/)をご覧ください。
- *4
- ARM9EJ-S(TM)は、拡張ARM命令セットの実行によりJavaバイト・コードにも対応します。80%を占める単純なJavaバイト・コードを直接実行し、残り20%の頻度の少ないバイト・コードをARMコア最適化済み仮想マシン(JVM)内のソフトウエア・エミュレーションで実行し、Javaバイト・コードの実行を加速します。
- *5
- ARM9E-S(TM)は、DSP拡張された32ビットRISCプロセッサ・コアであり、DSPとマイクロコントローラ性能の両方を必要とするアプリケーションに最適です。このシングル・チップ・ソリューションは、チップ面積、回路の複雑さ、消費電力、および製品化までの時間を大幅に低減することができます。
- *6
- 密結合メモリインターフェースにより、プロセッサを特定のアプリケーションのニーズに合わせることが出来ます。このインターフェースはフレキシブルで、ウエイト信号を使用してメモリ・アクセスを延長することが可能になります。
- *7
- Embedded Trace Macrocell(TM)は、ASICやASSPに組み込むデバッグ用マクロセルで、高いコストや技術的な問題なしに内部CPUの実行をモニタする機能を提供します。リアルタイムでの命令実行とデータのトレースが可能になります。
- *8
- AMBA AHB(Advanced Micro Bus Architecture, Advanced High-performance Bus)の略。AMBAオンチップ・バスは、SoC設計のフレームワークとして確立されたオープン仕様です。各々のIPを結びつける「デジタル接着剤」としてIP再利用に重要な要素になっています。AHBは、AMBAバスの一部分です。
【商標】
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ARM7TDMIは商標登録出願済みのARMの商標です。ARM926EJ-S、ARM946E-S、Jazelle、 ARM9E-S、ARM9EJ-S、Embedded Trace MacrocellおよびAMBAはARMの商標です。
その他のブランドあるいは製品名は全て、それぞれのホールダーが保有しています。
「ARM 」とは、ARM Holdings plc (LSE :ARM 、NASDAQ :ARMHY )、その事業会社であるARM Limited、各地域の子会社であるARM INC.、ARM KK 及びARM Korea Ltd.、ARM TaiwanおよびARM France SASの全部又は一部を意味します。
以 上
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