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[ PRESS RELEASE ] 平成13年11月14日
東京大学
株式会社富士通研究所

悪臭やウイルスを高効率で除去、世界初の新光触媒開発


東京大学先端科学技術研究センター(橋本和仁教授、渡部俊也教授)と株式会社富士通研究所(社長:藤崎道雄、本社:川崎市)は、吸着性に優れるカルシウムヒドロキシアパタイト(*1)にチタンイオンを導入することにより、従来よく用いられている酸化チタン光触媒に比べて、悪臭やウイルスなどを2倍以上効率よく分解する新光触媒を開発し、エアコンなどの空気清浄フィルタや情報機器端末への適用検討を開始いたしました。

[開発の背景]

空気中に浮遊するタバコの臭い成分や排気ガス、暖房器具から発生する窒素酸化物などの汚染物質(*2)は、健康に悪影響を及ぼすことが知られ、深刻な社会問題となっています。
この問題を解決するため、酸化チタン光触媒が注目されています。これは、クリーンエネルギーである紫外領域の光を用い、臭い成分や、汚れなどを酸化分解により、炭酸ガスと水に分解することができます(図1)。たとえば、ウイルスや細菌類をその死骸や毒素を含めて分解、無毒化してしまいます。現在は、この特性を生かして、抗菌タイルや防汚ガラス、防汚テントから、空気清浄フィルタなどの環境浄化製品にいたる幅広い分野で製品化されています。
空気清浄フィルタなどに適用するには、空気中に浮遊する汚染物質を効率的に捕捉する必要があります。従来用いられている酸化チタンは、汚染物質を吸着する能力に乏しいため、活性炭などの吸着剤と併用する必要がありました。しかし活性炭を用いても、酢酸成分は充分には除去できないため、空気清浄フィルタなどの空気浄化効率を向上させるには不十分でした。

[開発した技術]

当社では、東京大学の橋本教授、渡部教授らと共同で、空気中の汚染物質を吸着し、分解する能力を持つ新光触媒の開発に取組んでまいりました。今回開発した新光触媒の特徴は以下の通りです。

  1. 新光触媒の材料は、カルシウムヒドロキシアパタイトのカルシウムイオンの一部をチタンイオンと置換した結晶構造を持ちます(図2)。(以下、光触媒アパタイト)
  2. 光触媒アパタイトは、酸化チタンと同様な光触媒作用を持ち、汚染物質の分解効率は、酸化チタンに比べて2倍以上優れています(図3)
  3. 光触媒アパタイトは、蛋白質を吸着し、光触媒作用により分解することができます。(酸化チタンには、蛋白質を吸着(捕捉)する能力はありません)。
  4. 光触媒アパタイトは、タバコの臭い成分のうち、酢酸成分も吸着、分解できます。
なお、光触媒アパタイトに関する特許は、富士通株式会社と東京大学先端科学技術研究センターが設立した技術移転会社(株)先端科学技術インキュベーションセンター(CASTI)との共同所有で、同技術は幅広い分野で応用できるようライセンスしていく予定です。

【用語解説または注釈】
*1 カルシウムヒドロキシアパタイト
化学式Ca10(PO4)6(OH)2 で表されるリン酸カルシウムの一種。人間など脊椎動物の骨や歯の主な無機成分で蛋白質などの有機成分を特異的に吸着する能力に優れています。
*2
タバコの臭いはアセトアルデヒド、酢酸、アンモニアが主成分です。
【商標】
  • 記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以 上

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