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[ PRESS RELEASE ] |
2001-0211 平成13年10月24日 株式会社富士通研究所 |
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2.4テラビット/秒で7千4百キロメートルの光波長多重通信に成功株式会社富士通研究所(社長:藤崎道雄、本社:川崎市)は、大容量かつ高速化される将来のインターネットを支えるマルチテラビット光波長多重通信において、1536nmから1610nmまでの単一の波長帯域を用い、2.4テラビット/秒で、7千4百キロメートルのデータ伝送実験に世界で初めて成功いたしました。
これにより、1本の光ファイバを用いて、1波あたり10ギガビット/秒の信号を240波まで多重した2.4テラビット/秒のデータを、大西洋(約6500km)を横断して伝送することが可能となります。また、新開発のラマン増幅技術を適用することにより、74nm幅の連続した帯域の光信号を一つの増幅器で一括して増幅できるため、波長帯域を分割して増幅する従来の光増幅器に比べ、中継器の簡素化、低雑音化、高出力化および低コスト化が実現できます。
本件は、9月30日からアムステルダム(オランダ)にて開催されたECOC'2001 (欧州光通信国際会議:European Conference on Optical Communication) において、10月4日に発表いたしました。
[開発の背景] ブロードバンド・インターネットの普及に伴って、データ通信は爆発的に増大すると予測されており、大容量のデータを長距離伝送可能な伝送システムの開発が望まれています。
波長多重(WDM)技術は、1本の光ファイバに波長の異なる複数の光を重ねて伝送する技術であり、波長の数に比例して伝送データの大容量化を実現することができます。
伝送容量を増やすには、ある一定の波長帯域内で伝送する波長数を増やす方法(高密度化)と、波長帯域を広くして波長数を増やす方法があります。しかし、高密度化すると、隣り合う信号同士が干渉するファイバ非線形効果(*1)が強く現れ、伝送波形が大きく歪むので、長距離伝送が難しくなります。また、エルビウム添加ファイバ増幅器(*2)を用いる従来の伝送方法では、波長帯域幅はその増幅率で制限されるので、波長帯域を広くするのには限界がありました。
これらの問題を解決するため、従来は、波長帯域を複数に分割し(図1)、分割した数種類の波長帯域の光増幅器を組み合わせて伝送する方法が用いられていました。しかし、波長帯域数分の増幅器、さらには分波器や合波器が必要となるため装置が大型になり、コストが高くなるといった欠点がありました。
そこで、連続した波長帯域を一括して増幅することで装置を簡略化し、しかも、長距離伝送が可能な伝送技術の開発が望まれていました。
[開発した内容] 今回開発したのは、光ファイバを伝搬するとともに減衰する光信号を増幅するためのラマン増幅器(*3)とラマン増幅に適した2種類の光ファイバを用いた複合伝送路です。
開発したラマン増幅器だけを光中継器として用い、ラマン増幅に適した複合伝送路と組み合わせることで、波長帯域幅を74nmまで連続的に拡大でき、信号対雑音電力比 (光S/N比)を改善することができました。
具体的な新技術の内容は、次の2点です。
(1) 広帯域光増幅器(図2) 減衰した光信号の増幅に必要なラマン増幅器用励起光の発振波長および光パワーを最適化することにより上記の波長帯域において平坦な増幅特性を実現しました。ラマン増幅器のみを用い、約0.3nmの波長間隔の1536nmから1610nmまでの波長帯域幅(74nm)において、240波の波長信号を同時に増幅可能です。
(2) ラマン増幅器に適した広帯域伝送路 光増幅器間に2種類の異なる特性を持つ光ファイバを用いて、広帯域化を実現しました。すなわち、中継区間の前部にコア径が大きく低損失である光ファイバを、後部に前部の光ファイバにおける波形歪み要因を波長ごとに補償できる光ファイバを配置した複合伝送路を採用しております。これにより、広い帯域幅と低雑音、ひずみの低減が可能になりました。
富士通株式会社では、すでに、10Gb/sの信号を105波多重する1Tb/sの光海底ケーブルシステムを製品化しています。今回は更なるシステムの大容量化、光増幅中継器の簡素化、低雑音化、高出力化および低コスト化の見通しを得ることができました。今後は、実用化に関する詳細な検討を行い、2005年ごろ実用化する予定です。
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以 上 |
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