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[ PRESS RELEASE ] 2001-0207
平成13年10月22日
株式会社富士通研究所
ブロードバンド・インターネットを支える富士通No.060


1500ナノメートル帯波長多重光増幅器を開発

〜5テラビット/秒伝送の実現にめど〜


株式会社富士通研究所(社長:藤崎道雄、本社:川崎市)は、一本の光ファイバに波長を多重して伝送する波長多重(WDM)伝送システムにおいて、伝送容量を飛躍的に増大するためのコア技術となる1500ナノメートル帯の汎用光部品を用いた光増幅器を初めて開発いたしました。
今回開発した技術と従来の波長帯を用いたWDM技術を併用することで、5テラビット/秒の波長多重伝送システムの実現にめどをつけました。
なお、本技術の詳細は、2001年9月30日から2001年10月4日に開催されたECOC'2001(欧州光通信国際会議:European Conference on Optical Communication)にて発表いたしました。

[開発の背景]
富士通では、世界最大容量の1.76Tbpsの波長多重(WDM)光伝送システムを2000年に実用化しております。しかし、政府の「e-Japan構想」では、5年以内に少なくとも3000万世帯が高速インターネット網に、また1000万世帯が超高速インターネット網に常時接続可能な環境を整備しようとしています。この構想が実現すると、2005年までに10Tbps級の光通信技術が必要といわれており、更なる大容量伝送技術の実用化が緊急課題となっています。
1本の光ファイバに波長の異なる複数の光を重ねて伝送する波長多重(WDM)技術は、波長の数に比例して伝送容量を大きくすることができるため、すでに実用化されている1550nmと1580nm帯に加え、1500nm帯でのWDM技術の実用化が望まれています。
しかし、従来の帯域の光増幅器として実用化されているエルビウム(Er)添加ファイバ(EDF)増幅器(*1)では、1500nm帯の増幅は困難だとされてきました。

[今回開発した技術]
そこで当社は、多段の光増幅方式とフィルタリング技術を併用することで、世界で初めて汎用EDFを用いた1500nm帯での波長多重光増幅器の開発に成功しました。
その特長は、以下の通りです。
  1. Er添加ファイバと光フィルタを多段化
    EDFに入射する励起光の励起状態を制御し、EDFと帯域外の雑音光を抑圧するフィルタを多段に組合せることで、1500nm帯の光信号を100倍程度増幅します。これより実用上十分な増幅が可能となります。1500nm帯Er添加ファイバ増幅器を図1に示します。

  2. 従来部品を利用し、信頼性と低価格を実現
    以前から光通信部品として一般化されているEDFと雑音光を抑圧する誘電体多層膜フィルタを利用するため、信頼性の高い装置が実現できます。
    また、既存部品を用いているため、材料開発や新規構成光部品の開発を必要とせず、低価格な光増幅器を実現できます。

  3. ラマン増幅器(*2)との組合せで、低雑音なチルト補償機能付光増幅器を実現
    ラマン増幅器と組合せることで、波長多重伝送システムに必要な、出力の平坦性を実現しました(図2)。
本技術を開発したことにより、光通信用の増幅帯域を従来の1550nm帯と1580nm帯の70nmから最大100nmまで拡大することが可能となり、5Tbit/sの波長多重伝送システムの実現に不可欠な光増幅器の開発にめどがつきました。


[用語解説]
*1:エルビウム添加ファイバ増幅器
希土類イオンであるエルビウム(Er)を添加したファイバに、励起光を入射することで1.5μm帯(1500nm帯、1550nm帯、1580nm帯のすべて)での光増幅が可能となります。波長多重伝送システムを実現するためによく用いられる重要な光増幅器です。
*2:ラマン増幅器
光ファイバで発生する非線形現象(ラマン光散乱)を積極的に利用することで光増幅を行う増幅器のこと。およそ100kmの長さの伝送路ファイバを用いた分布ラマン増幅器は1.76Tbps波長多重伝送システムなどに適用されています。
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(図1)1500nm帯Er添加ファイバ増幅器(図2)低雑音なチルト補償機能付光増幅器

以 上

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