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1999-0197
平成11年10月4日
富士通株式会社

世界最小/最軽量ルビジウム原子発振器を開発

当社と富士通東北ディジタル・テクノロジ株式会社はこのほど、従来の半分以下に小型軽量化した体積98cc、重量125gのルビジウム原子発振器(*1)を開発いたしました。今回の小型・軽量化の成功で、今後市場の拡大が予測される次世代移動通信システム(IMT2000:International Mobile Telecommunications 2000)、GPS(Global Positioning System)や各種計測装置等への組み込みが可能となります。
当社では今年中に開発品の試作評価を完了し、来年4月からのサンプル出荷を目指します。

[開発の背景]

携帯電話等の移動通信システムの基地局に使用されている基準発振器は、恒温槽付き水晶発振器が一般的です。恒温槽付き水晶発振器の周波数精度は1×10-7程度で、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)に代表される次世代移動通信システムでは、5倍の周波数精度が要求され、定期的な周波数の校正が必要となります。そのため校正が不要な小型の発振器の実現が望まれていました。
ルビジウム原子発振器は、永久不変なルビジウム原子(Rb)のスペクトル線を基準にした発振器であるため、長期にわたり周波数が安定しています。その精度は2×10-9以下で、1年あたりの周波数のずれ量は2×10-10と移動通信システムの要求を満たすものですが、システム機器に組み込むには大きさに問題がありました。
一方、計測器分野でも周波数カウンタや周波数シンセサイザ等の周波数精度の向上を目的に、計測器に組み込み可能な小型軽量のルビジウム発振器の開発が望まれていました。
当社では長年、テレビ放送システムや基幹通信システム等の基準クロック用として用いてきたルビジウム原子発振器の技術を応用し、小型軽量ルビジウム原子発振器を開発しました。
[開発した内容]
今回、ルビジウム原子発振器の小型化を実現するために開発した技術は、主に原子共鳴器(*2)の小型化と、周波数シンセサイザの新回路方式採用による回路の簡略化の2つです。また、さまざまなお客様の要望に対応するため、DDS(Direct Digital Synthesizer)を使用し、1M〜15MHzの任意の周波数を発生する技術を採用しています。
  1. 原子共鳴器の小型化
    空胴共振器(*3)の共振モードとして利用する、TE111モード(*4)の電界集中領域に 高誘電体物質を挿入する方式により、空胴共振器の共振周波数を下げ、原子共鳴器の容積を従来の1/5に小さくしました。

  2. 周波数シンセサイザの新回路方式開発
    従来は、内蔵する水晶発振器の周波数を、Rb原子の共鳴する周波数6.834GHzに変換するために、コイル・コンデンサ・トランジスタによる周波数逓倍、周波数合成及びバラクタダイオードによる高次逓倍を行っていました。今回開発したルビジウム原子発振器では、2.3GHzPLL(Phase Locked Loop)モジュール及びFET(Filed Effect Transistor)による逓倍回路により実現し、部品点数を削減することで小型化を達成しました。

[用語解説]

*1) ルビジウム原子発振器(Rubidium frequency standard)
内蔵する水晶発振器から逓倍・合成された周波数が、ルビジウム原子(87Rb)の安定な共鳴周波数(6.834GHz)に常に一致するように、水晶発振器の周波数を自動制御する方式の超高安定発振器です。
*2) 原子共鳴器(OMU:Optical Microwave Unit)
ルビジウム原子発振器の心臓部であり、ルビジウム原子を封入したRbランプセルとRbランプセルが発光する光を吸収するRb共鳴セルとからなります。
Rb共鳴セルは空胴共振器内に配置されており、空胴共振器に照射されるマイクロ波周波数に応じて、吸収する光の量が変化します。原子共鳴器は入力するマイクロ波の周波数により、出力するRbランプ光の強度が変化する周波数検出器です。
*3) 空胴共振器(Cavity resonator)
導体壁で囲まれた空胴の共振現象を利用したマイクロ波用の共振器です。
*4) TE111モード
共振時に円柱空胴の高さ方向、円周方向、半径方向、それぞれに電磁波が一周期分定在する電磁界分布の姿態です。

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