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1998-0035
平成10年2月16日
株式会社富士通研究所

世界初の「電子化データの原本性保証文書管理システム」を開発

ネットワーク環境下で法定文書,契約書等の安全かつ確実な管理環境を実現

株式会社富士通研究所(社長:佐藤 繁、本社:川崎市)は、オープンなネットワークで、電子化文書の原本性(唯一性)を保証し、安全かつ確実な文書管理を可能とする技術「セキュアアーカイバ (Secure Archiver)」を世界に先駆けて開発いたしました。

一般の契約や申請手続きでは書類の原本(契約書、申請書、領収書など)と、その写しが必要になることがよくあります。紙媒体では原本と写しは明確に区別できます。これは原本と写しとでは、用紙やインクの物理的な性質が違うことによります。同様の理由で原本の改ざんも困難でした。
これに対して電子化文書は一般に簡単に複写や改ざんが行え、どれが本物の原本かわからない、原本と写しで内容が異なってしまった、といった問題が容易に起こり得ます。さらに、ネットワークを介して送られた文書は、送受信者で別々に保管・管理されるので、双方がそれぞれに編集してしまい原本の対応がとれなくなる、といった問題も起こります。

今回開発した「セキュアアーカイバ(改ざん検出用専用LSI搭載のPCボードと記憶媒体光磁気ディスクが同一筐体にはいった装置)」では文書データとは別にその所在・内容・履歴等を表す識別情報を設け、これらの整合性により不正な複写や改ざんを防ぎ、原本性を保証いたします。安全のため文書と識別情報はパソコンの記憶装置にではなく、セキュアアーカイバ内の記憶装置に格納されます。識別情報は文書登録時に文書をもとにして、秘密鍵によりセキュアアーカイバで自動的に生成されます。利用者は、パソコンにセキュアアーカイバを接続するだけで、オープンネットワーク上での電子化文書の安全かつ確実な"保管"と"送受信"等ができます。

●セキュアアーカイバの特長

・原本保証(唯一性保証)
識別情報により対応する文書が原本か写しかが明確になります。また、識別情報は対応する文書の文書ID(シリアル番号+セキュアアーカイバID+記憶媒体ID)を含んでいるので原本は一意に識別されます。
・ネットワーク上で原本の安全な移動
原本は利用者のセキュアアーカイバからネットワークを経由して、相手のセキュアアーカイバに識別情報と一体化して送られます。この時安全確保のため、セキュアアーカイバ同士で相互認証と暗号化、送受信確認を行います。したがって大掛かりな公証局も不要です。また送受信完了時に、送信者の文書は原本から写しとなり、受信者の文書が原本になります。
・ネットワーク上で移動した原本の追跡
原本を移動した場合には、送受信者間の移動履歴とセキュアアーカイバ内蔵時計の時刻が識別情報に記録されます。この情報により原本移動の追跡ができます。
・原本と識別情報の改ざん防止
セキュアアーカイバ内の記憶装置では、原本となる文書の登録とその読出ししかできません。したがって、原本をパソコンから書き換える(上書きする)ことはできません。また記憶装置上の原本内容を何らかの手段で直接書き換える方法も考えられますが、この場合は識別情報との整合性が取れなくなり、改ざんが判明いたします。識別情報は登録時に原本をもとにして、秘密鍵により自動生成されますので、改ざんされた原本と整合性を取れるようにすることはできません。

●原本保証必要性の背景
民間企業における企業間電子商取引等の進展、「行政情報化基本計画」にもとづく公共分野の電子化等にともない、契約書や申請書等の重要文書の電子化、ネットワーク化が本格化しようとしています。その中で送受信される重要文書(領収書、契約書、謄本他)には従来の紙媒体と同様に原本性を保証する技術が求められます。原本性の保証は、重要文書を電子化、ネットワーク化する上でのキーポイントであるといえますが、現状のセキュリティ技術は、主としてネットワーク上での不正な複写、改ざん等を防ぐことを目的としており、この原本性の問題を完全に解決することはできませんでした。

●今後の展開
今後は、同技術の有効性の実証をさらに進めるとともに、各種標準化へ積極的に提案を行い、広く利用できる技術として展開していく予定です。特に、次世代官公庁システム、企業間電子商取引等の中の重要技術として位置づけ、同分野への適用を順次図ってまいります。
なお、今回開発したシステムは、2月17、18日に虎ノ門パストラルで開催いたします「富士通官公庁ソリューションセミナ」にデモ出展いたします。


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