[ PRESS RELEASE ] |
1997-0170 平成9年9月10日 富士通株式会社 |
当社とテキサス・インスツルメンツ(TI)社との日本特許第320,275号
(キルビー'275特許)に関する訴訟において、東京高等裁判所は、本日TI
社の控訴を棄却する判決を下しました。
この訴訟は、当社半導体製品がキルビー'275特許に抵触していないこ
との確認を求めて、当社が1991年に東京地方裁判所に提起した訴訟にお
いて、当社側の主張を認めた一審判決を不服としてTI社が1994年9月12日、
東京高等裁判所に控訴していたものです。
なお、この控訴と並行してTI社より提起されていた同特許に基づく当 社製品の差止の仮処分申請に関する抗告も同時に棄却されました。
「当社の主張が再度認められたことに満足しています。これが産業の 健全な発展の指針になることを希望します。」 (鳴戸道郎専務取締役、法務・知的財産権本部担当)
以 上
1991年 | 7月19日 | 当社より東京地方裁判所に、当社半導体製品がTI社の 日本特許第320,275 号 (キルビー'275特許)を侵害し ていないことの確認を求める確認訴訟(注1)を提起。 |
同 日 | TI社がキルビー'275特許に基づき当社半導体製品の製造・販売の差止を求める仮処分申請(注2)を提起。 | |
1994年 | 2月 4日 | 第8回口頭弁論、第22回審尋にて審理終結。 |
8月31日 | 東京地方裁判所において判決言い渡し。確認訴訟、仮 処分申請ともに当社が勝訴。 | |
9月12日 | TI社が一審判決を不服として、東京高等裁判所に控訴、 抗告。 | |
1997年 | 3月12日 | 第7回口頭弁論・審尋にて審理終結。 |
(注1)〔確認訴訟の概要〕
(注2)〔仮処分申請の概要〕
以 上
[参考資料2] キルビー'275特許について
キルビー'275特許(日本特許第320,275 号) とは、
米国テキサス・インスツルメンツ社が有する半導体特許であり、
メサ型トランジスタやコンデンサなどの複数の回路素子を
相互に数ミリずつ離間配置して絶縁する方法や不活性絶縁体上に導体を
密着させずに配置して接続する方法など、
初期の世代の半導体を記述した特許である。
このキルビー'275特許は、一般に「キルビー特許」として広く知られ ている特許 (日本特許第320,249 号:キルビー'249特許) とは区別され る必要がある。
いわゆる「キルビー特許」は、米国では1959年に出願、日本では1960
年に出願され、米国では1964年に登録、日本では翌年1965年に公告され
た特許でこれらは既に満了している。
(米国特許は1981年、日本特許は1980年に満了。)
一方、キルビー'275特許は、上記の1960年の日本特許の出願以降、数 回にわたる分割出願により広範な修正が試みられた末、1989年にようや く日本特許庁がTI社に付与した特許である。
[富士通-TI社との半導体分野の特許ライセンス関係について]
当社とTI社との間には1968年以来、半導体分野における特許クロス・ ライセンス契約が存在し、現行契約は1996年に発効している。
現行契約および1991年に発効の旧契約ではTI社の日本特許第320,275 号(キルビー'275特許)はライセンスの対象に含まれていない。これは、 同特許がカバーする技術を当社では使用していないため、ライセンスを 受ける必要はない、と1991年の旧契約更改交渉時に判断したからである。 TI社は旧契約交渉時に、キルビー'275特許の技術を当社が使用している と主張し、不当なロイヤルティを要求してきたが、当社はその主張には 同意できなかった。
TI社に対する当社のロイヤルティ支払額は、キルビー'275特許成立前 に締結された契約(87年〜90年)の下での支払額に比べて大幅に減少し た。これは当社が技術開発を積極的に進めてきた成果であり、当社の特 許ポートフォリオが著しく強化されたことを反映するものである。
以 上