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1997-139
平成9年7月2日
富士通株式会社

世界初パソコン向け三次元 幾何変換プロセッサを開発

〜あらゆる市販グラフィックコントローラと接続が可能〜

当社はこのほど、株式会社富士通研究所(本社:神奈川県川崎市,代表取締役社長:佐藤繁)と共同で、世界初のパソコン向け三次元幾何変換プロセッサ「Pinolite(MB86242)」を開発し、7月2日から販売を開始いたします。
本製品は、グラフィックアクセラレータにPC用グラフィックコントローラLSIと一緒に搭載することで、最高級の業務用ゲームマシンと同レベルの、75万独立三角形ポリゴン/秒の幾何変換処理が可能となります。
これにより、ご家庭にあるパソコンで、手軽に高性能のゲームを楽しむことができます。

通常、三次元グラフィックス処理では、大きく分けて、幾何変換処理と描画処理という二つのプロセスがあります。物体を立体的に表現するために、三次元グラフィックスでは、その表面形状をポリゴン(*1)と呼ばれる構成単位の組み合わせによって近似表現します。
幾何変換とは、このように近似表現されたポリゴンモデルの動き(回転や並行移動)を計算するための座標変換処理や二次元平面への投影計算、各ポリゴン頂点ごとの輝度計算などを行うプロセスで、精度を高めるために通常、浮動小数点形式で演算を行います。
パソコンでは、通常これらの処理はホストCPUで行われていますが、ホストCPUが内蔵する浮動小数点演算ユニットは、必ずしもこのようなグラフィックス用の処理に向いておらず、場合によってはホストCPU側の幾何変換処理スピードで、全体の処理速度が左右されてしまいます。
また、ホストCPUがこのような幾何変換処理を実行すると、負荷が大きいために他の処理がほとんどできなくなるため、システム全体の処理性能に制約を与える要因にもなります。

こうした問題を解決するために、当社は、これまでCPUが行ってきた三次元グラフィックスの幾何変換の専用プロセッサ「Pinolite」を、世界で初めて開発しました。
「Pinolite」とグラフィックコントローラを搭載したグラフィックアクセラレータを、パソコンに差し込むことによって、ご家庭で手軽に最高級の業務用ゲームマシンと同等の画質でゲームを楽しむことができるようになります。
本製品は、グラフィックコントローラとの通信用にホストCPUとの通信用とは独立したPCIインタフェースを搭載しているため、ホストインタフェースからのデータ入力と、幾何変換出力データのグラフィックコントローラへの出力を同時に処理できます。そのため、データ転送を高速に行うことができ、さらに市販の様々なグラフィックコントローラを後段に接続することが可能です。

[出荷時期] サンプル出荷 : 平成9年7月
量 産 : 平成9年11月
[サンプル価格]3,000円
[販売目標]30万個/月

[「Pinolite」の特長]


今後は、インテルの提唱するAGP(Accelerated Graphics Port)インタフェー スへの対応も予定しております。

[ サポートツール ]

本チップの開発支援環境として、Cコンパイラ、アセンブラ、リンカ、シミュレータデバッガ、および評価用PCIアドインカードと専用モニタデバッガが提供される予定です。
また、リファレンス用として、ファームウェアプログラムのサンプルソースファイルも同時に提供されます。

[ 用語説明 ]

*1ポリゴン
三次元グラフィックスの構成単位のひとつ。物体の表面を分割し、近似表現するためのプリミティブ図形。通常は三角形または四角形。

*2フラットシェーディング
ポリゴンの法線ベクトルと光源の位置から輝度を求め、ポリゴンの面全体をその輝度の色で均 一に塗りつぶす描画方法。隣接するポリゴンとの色彩の違いがはっきりとわかり、境界線が識別できるため、滑らかな表面をスムーズに描画するには不向き。

*3グーローシェーディング
ポリゴンの各頂点の法線ベクトルと光源の位置から、それぞれの輝度を求め、頂点間を線形に補間することで、ポリゴン全体に滑らかな色彩の変化をつける描画手法。隣接ポリゴン間の色彩が滑らかに変化する様を表現できるため、滑らかな表面の描画に向いている。

以 上


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